90+1分が示す勝負強さ。走り切る力を秋田の地でも
90+1分。これは、第2節の今治戦で小島幹敏が決勝ゴールを、そして第4節の湘南戦でスファナット・ムエアンタ(バンク)が同点弾を決めた時間だ。今季の大宮は、4試合中2試合において後半のアディショナルタイムに得点を決めている。
実はJ2・J3百年構想リーグの地域リーグラウンドでも38得点中3得点が、昨季も60得点中8得点が90分以降に奪ったもの。最後の粘り強さは、ここ数年の大宮に備わる強みなのかもしれない。ただ、競り負けた試合や勝点が減った試合も思い浮かぶので、ナダル監督が率いる今季の大宮は、なおさら勝負強さが際立つ。
前節は、83分に湘南の選手が退場したことで、残り時間を数的優位な状況で戦うことができた。そうした背景も含めて、大宮の選手たちが走り切った印象が強い。実際、ナダル監督は試合後に「まだデータが出ていないので、今日の正確な数字は分かりませんが、われわれはリーグで一番走れているチームだと思っています」と、手ごたえを口にしている。
開幕前のキャンプからしっかり走り込んできた。その成果が、勝点に結びついている。何よりも大宮の選手たちの胸中に、「あれだけやってきたんだから……」という練習への絶対的な自信があるのが大きい。
今季開幕戦でJリーグ通算100試合出場を達成し、湘南戦でバンクのゴールを演出するなど圧倒的な左足を見せ続けている加藤聖は開幕前、「キャンプでは1000mを何本も走りました。あまりにも走ったので数えたら、ドイツ、青森、函館の3回のキャンプで28本くらい走っていました」と教えてくれた。
アウェイでのタフな戦いが予想される秋田戦でも、走る力は勝敗を分ける一つのカギとなるだろう。吉田謙監督が7年目の指揮を執る秋田は、堅守速攻、ハードワーク、球際や空中戦の強さといった不変の特徴を持っている。今季は1勝1分2敗の14位と結果が出ていないが、貪欲に勝点を狙ってくる。
そんな相手に大宮の良さを発揮し、勝点3を持ち帰れるか。真っ向勝負にせよ、いなしながら攻め勝つにせよ、スタイルの異なる相手に戦い方の幅を見せられるかに、注目したい。
(文:粕川 哲男)
監督コメント
ミーティングは何かしらの形でほぼ毎日行っているのが、われわれのやり方です。前節についても、自分たちができたところ、できなかったところを振り返りました。そこから選手一人ひとり、そしてチーム全体をより良い状態にしていくことを目的に、日々取り組んでいます。
われわれのフィジカルレベルの高さは、試合を見ていただければ分かると思います。プレシーズンからハードワークに取り組んできましたし、試合が72分であろうが86分であろうが、そこで終わりではありません。最後までアグレッシブにプレーし続けることを選手たちには求めています。自分で限界を設定するのではなく、その壁を突き破ることで、選手としてもう一段階成長できると考えています。
秋田戦は、タフなゲームになると思っています。選手たちに見せる映像なども準備していますが、秋田は非常にエネルギッシュで、走って戦ってくるチームだと認識しています。そのような相手に対しても、われわれは自分たちのクオリティや、自分たちが持っているものを信じることが大切です。自分たちらしくエネルギッシュに、情熱を持って、勇敢にプレーし、勝利を目指したいと思います。
選手コメント
(リーグ前節の)湘南戦は最後に追いつくことができましたが、前半が良くなかったことはみんなが分かっています。自分たちで試合を苦しくしてしまった部分もあったので、イージーミスをもっと減らしていかなければいけません。そこはしっかり修正して、勝てるチームになっていきたいです。
秋田は球際やセカンドボールのところが非常に強いチームなので、そこで受けてしまってはいけないと思っています。相手が来ているからボールを回そうという考えではなく、一つのボールにどれだけ食らいつけるか。そのボールがどちらに転ぶかによって、勝敗は大きく左右されると思っています。
今のポジションについては、試合を重ねるごとにいい感覚になっていますし、慣れてきた部分もあります。あとは最後まで走り切れるようになれば、もっとチームに貢献できると思うので、走力の部分は引き続き上げていきたいです。攻撃ではカルリーニョス・ジュニオと近い距離でプレーすることも意識していますし、そのあたりは普段のトレーニングから話しています。今の年齢になって新しいポジションに取り組めていることも、すごく楽しめています。
連戦が続いていますが、チームとして技術面、メンタル面、フィジカル面のすべてにおいて、選手だけではなくチームの全員がしっかりと準備できていると感じています。それが、開幕からいいスタートを切れていることにつながっていると思います。
(攻守にいいデータが出ていることについては)得点にかかわるプレーを続けられていることについても、個人だけで成し遂げていることではなく、チーム全体で生み出しているものだと思っています。自分の役割を考えれば、前線でのプレーはもちろんですが、後ろをどのようにサポートするかということも大切です。そういったプレーが最終的にチームの勝利につながっていると思うので、これからも続けていきたいです。
攻撃でも守備でも、それぞれの局面で一人ひとりが何をしなければいけないのかを分かった上で、それをピッチで表現できていると思います。個人だけではなく、チームとしてさらに高めていくことで、自分たちが望んでいる結果、そして最終的な目標につながっていくと思っています。秋田戦に向けてもしっかりと準備をして、勝利を得られるように頑張りたいです。
(湘南戦で背後をカバーした場面は)あまり覚えていないのですが、あのようなプレーは自分の持ち味だと思っています。最終ラインを高く保つ中で、背後を取られても守れるという安心感があれば、チームとして前からプレッシャーをかけやすくなると思います。あのような場面でしっかり止められる選手になっていきたいです。
西尾選手とはお互いの特徴がはっきりしていて、手前のところは彼がしっかりつぶしてくれますし、そこで止め切れずに背後を取られたときは自分がカバーするという関係性があります。もちろん、彼自身も背後への対応や予測がすごく速い選手です。お互いに助け合いながら、いい関係を築けていると思います。
秋田は球際やセカンドボールの強さがJ2の中でも非常に高いチームだと思っています。迷わず前を選択して、自分たちの背後や2トップに対してシンプルにボールを入れてきます。そこでデュエルに続けて負けてしまえば、決定機につながることもあると思います。球際やデュエルのところを強く意識しなければ、一気に相手のペースに持っていかれると思っています。
自分にとっては、昨年プレーして育ててもらったクラブとの対戦になります。ただ、リーグ戦の1試合ですし、自分たちが掲げているJ2優勝を考えれば、目の前の試合に勝たなければいけません。自分のパフォーマンスをしっかり出すことを意識したいです。その上で、自分が成長した姿を秋田の皆さんに見せるいい機会だと思っていますし、お世話になった方々に自分のプレーで恩返しできればと思います。
試合データ
Kickoff time | 2026年9月6日, 18時00分 |
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