明治安田J2・J3百年構想リーグEAST-Bグループの第15節は、2位のいわきを相手に迎えるホームゲーム。前節終了時に宮沢監督が「絶対に倒さなければいけない相手」と強い意気込みを示した一戦で、石川が今季初先発。2種登録の小林がベンチ入りを果たした。
曇り空で涼しい気候。キックオフから、両チームの選手が精力的にピッチを駆けた。立ち上がりは、互角。どちらもゴール前への侵入は許さず、緊迫感が漂った。得点は突然に訪れた。14分、杉本がロングパスのセカンドボールを回収。右のカプリーニに預けて外を回ってパスを引き出してクロス。中央に飛び込んだ泉がワンタッチでたたき込んだ。
得点後は、守備の出足が鋭さを増し、ショートカウンターを連発。16分には加藤が大きく巻き落とすクロスを送り、逆サイドから杉本がシュートを放った。一気に試合の流れをつかんだが、たった一つのファウルが失点を生んだ。24分、自陣右サイドでプレスバックしたカプリーニが相手を倒すと、FKからダイビングヘッドでゴールを決められた。相手に許した1本目のシュートだった。
ただ、試合の流れを相手に渡すことはなく、プレッシングからの攻撃を継続。28分に加藤が直接FKを狙ったり、39分に右CKのこぼれ球を石川がボレーシュートで狙ったりとゴールに迫った。
42分、相手にクリアを許さず、何度も押し返すと、ルーズボールを受けた杉本から右の関口に展開。PA角でバックパスを受けた中山が、美しく弧を描くクロスを送り、カプリーニがヘディング。こぼれ球を押し込んだ。中山は「クロスは、狙ったポイントに選手が入ってくれていた」と振り返り、全体の流れについても「出足とか(で相手を上回るという)意思を90分通して見せられたんじゃないかと思う」と手ごたえを示した。さらに44分、ロングパスを相手と競り合いながらコントロールしたカプリーニが強烈な右足シュートを放ったが、クロスバーに嫌われた。
後半は、相手が3人同時交代でギアを上げて来た。しかし、49分、相手ゴールキックを跳ね返して中央から押し込むと、バイタルエリアからサンデーがカットインシュート。GKが防ぎ損ねてゴールを割り、いきなり追加点が入った。
64分、いわきにFKからヘディングシュートを打たれたが、GKトムがセーブ。続くCKもキャッチでピンチをしのぎ、前半の二の舞は避けた。64分、左CKのこぼれ球から杉本がループシュート。GKに防がれたが、波状攻撃を仕掛け、石川が強烈なミドルシュートを放つなど攻め手を休めなかった。
70分には、カプリーニに代えて山本を投入。76分、左から加藤、中山との連係から泉がクロス。中央で競り合ったこぼれ球をファーサイドで拾った関口が強烈なシュートを放ったが、クロスバーに弾かれた。78分には加藤の低いクロスに山本が飛び込むチャンスがあったが、相手GKに弾かれた。
好機が続く中、得点が期待されたが、生まれたのは失点だった。80分、敵陣からのロングスローを高い位置でキープされ、逆サイドへの展開を許すと、ミドルシュートをたたき込まれた。失点直後には、選手が集まって話し合った。中山は「ここ(進展直後)で下がって押し込まれるのが、いつものパターン。前はガンガン行って、付いていこうと健勇くんを中心に話した」と明かした。
81分、2種登録の小林が右サイドに投入され、プロデビュー。しかし、終盤は、いわきに押し込まれる展開。目安4分のアディショナルタイムを全員で粘り強く耐え、3-2で試合を制した。
試合を終えて3位をキープした。石川は「みんなが足を動かして、仲間のために走って戦えていた。それを、この試合だけだったよねというふうにしてはいけない」と走り勝ったプレーの継続を訴えた。
グループリーグは、あと3試合。次節は、4位に浮上した札幌とのアウェイゲームとなる。終盤の首位争いで勝負強さを示したい。
(
文:平野 貴也
)
選手・スタッフコメント
監督 宮沢 悠生
選手たちが90分+アディショナルタイム、自分たちがやりたいことを必死でやってくれたと思います。一番大事な姿勢の部分であったり、自分たちのサッカーは少し見せられたのではないかと思っています。課題を挙げたらキリがないですが、今シーズン最多入場者数のホームで勝点3を取れたことを本当にうれしく思います。
課題をどんどん成長につなげていくことにトライしてきた中で、少し自分たちのサッカーを失っていた時期があったので、「もう一回思い出そうぜ」と選手たちに伝えて、課題もありますが、自分たちが取り戻したかったものは今日ピッチの上で表現してくれたのではないかと思います。
課題は、やはりスキを見せないところだと思っています。攻撃でもあれだけ自分たちが前からプレスに行って、あれだけ走れるいわきを相手に自分たちが走り切っている中で、やはり相手のスキを突いて自分たちがボールを奪っているのであれば、そのスキは必ず突かなければいけないと思いますし、そこで差し切ることができれば勝点を取り切れた試合はこれまで何試合もありました。3-1、自分たちのスローイン、絶対にスキを見せてはいけないところでスキを見せてしまう。完璧に崩されたわけではない中で、スキを見せて失点してしまう。そこからバタバタして最後なんとか勝点3を取るというのは本当に難しいことで、すばらしい特徴のあるチームと試合をしている以上、そこでスキを見せないことが自分も含めての課題だと思っています。
90分のパフォーマンスは合格点ではなく、3-1で勝ち切りたかったです。そうなれば、自分たちが本当に強くなったと証明できると思っています。そこは自分自身も含めて、日々の練習からカルチャーを作っていくしかありません。ただ、3-2になって、いわきの長いロングボールだったりセットプレーもあって難しい中で勝点3をファン・サポーターに届けられたことは、ある意味では合格点なのかもしれないです。それでも、3-1で決め切りたかった、仕留めたかったというのが自分の中では大きいので、チーム全体としては合格点の少し下ぐらいだと思っています。ただ、選手の目と勢いが死んでいなかったので、次の札幌戦のことは考えず、絶対に彼らなら100%やり切れる、走り切れると選手たちを信じて交代はしませんでした。
やはりプロである以上、勝点3を取り続けていかなければいけないですし、ホームでもアウェイでもたくさん来てくださるファン・サポーターの方々にいつも勝点3を届けるということが自分の役目、使命だと思っていますし、それができなかったら自分は責任を取るという覚悟を持ってやっています。勝ってみんなが笑顔になっている、勝ってファン・サポーターの方々が喜んでいる姿を見るために、自分のサッカーを体現して、それを見るために自分が今ここにいる、このすばらしい仕事をさせてもらっていると思っているので、やはり勝点3、連勝、ずっと勝ち続ける。それはつねに求めていきたいと思っています。勝つということはすごく大事だと、あらためて思っています。ただ、負けた時期があったから今このサッカーを取り戻せたと思いますし、選手たちがいろいろなことに気づいてくれていると信じて、その時期は必要不可欠だったのではないかと自分の中では思っています。
FW 11 カプリーニ
自分の得点シーンは、右サイドからの崩しで(中山)昂大が完璧なボールをエリアに放り込んでくれて、自分はヘディングシュートのこぼれ球を右足で押し込んだ形でしたが、このゴールは昂大のゴールだと言っていいぐらいすばらしいボールでした。本当はヘディングのところで一発で決め切りたかったですが、こぼれ球にもバッと反応できて、しっかり点につなげられたのは良かったかなと思います。
攻撃に関しては、今日みたいにオーガナイズがしっかりされている試合は、自分たちらしいサッカーができているのかなと思います。味方同士の距離感がしっかりしているときや、コンパクトフィールドでサッカーができているときにはハイプレスのサッカーができるのですが、少しでもオーガナイズが間違っていると実行できないので、今日のように自分たちがしっかりとお互いに近いところでプレーできているからこそ遠い位置でのハイプレスが効いてくるのかなと思います。
攻撃だけではなく、守備陣もしっかりと対応してくれたと思います。最後に失点をしてしまったのも、試合なのでそういうこともあり得ると思いますし、今日の試合で得たものは間違いなく次に生きると思います。2026/27シーズンでは、泥臭い試合も絶対必要だと思うので、いい勉強材料でしたし、もちろんホームで勝ったということも大事なのかなと思います。
次節の札幌戦も難しい試合になるのは間違いないと思いますが、自分たちが今日みたいな試合を多少でもできれば、間違いなく自分たちにも分があると思います。アウェイゲームですが勝点3を狙いにいって、その次も勝点3をまた狙いにいきたいです。この百年構想リーグでいかに勝点3を積むのかが大事になってくるので、勝ちにいきたいなと思っています。
MF 6 石川 俊輝
個人的にはひさしぶりの先発出場でしたが、やはりチームが勝ったことが一番ですし、ホームであれだけの方々が足を運んでくれた中で、笑顔で帰ってもらうというのは選手として本当に幸せなことだと思います。
勝てていないときに、一歩目をみんな少し悩んでるなというのは感じ取れていました。チームとしてやる大枠の中で真面目にやりすぎる部分と、相手がどう対応してきているかによって少しアレンジを加えるかというのも、負けが続くと余裕の部分がなくなってしまっていたのかなと思います。
ただもう一回立ち返る部分が僕らにはありますし、前節の福島戦で(木寺)優直のあれだけ思い切りよくプレッシャーに行く、奪いに行くという姿勢を見たのであれば、年齢関係なく学ばなければいけないですし、それが自分たちらしさだと言えるようになっていくには最低限それは毎試合やってないといけないと思います。優直が勇気を示すという一番大事な部分を見せてくれて、それがあらためて大事だなというのを感じましたし、チーム全体としてつねにチャレンジする姿勢や奪いに行く姿勢というのを見せ続けることが大事だなとあらためて思いました。
セカンドボールの予測やトランジションの部分で一本思い切って行くとか、裏が少し怖くても勇気を持っていけば逆に当たる可能性が増えるというのを、各々が今日あらためて感じる部分はあったと思うので、その質をさらに上げていけるようにお互い要求し合ってやっていきたいなと思います。
今日は本当にチームを勝たせたいというふうにしか思っていなかった中で、失点がないのがベストですが、目標としていた最低限の勝ちというのをしっかり持ってこれたことは良かったと思います。ただこの一戦で終わってはいけないですし、次の札幌戦に向けてまたみんなが良い準備をして、また競争していくというのが良い循環になると思うので、日々の積み重ねをまたやっていくだけかなと思います。
FW 90 オリオラ サンデー
フル出場はひさしぶりだったので、そういった意味ではまず90分間走れたというところで非常にホッとしています。さらに勝ちにもつなげられたところや自分がゴールを決められたところにも満足しています。
ゴールシーン以外にも味方とのコンビネーションで崩した部分もたくさんあったと思いますし、ゴールシーンに関してもビハインドの見えないところやチームの動きも確認しながらしっかりと動けたので、それがゴールにつながったと思っています。ストライカーとしての役割をしっかりと果たすという意味でもシュートをしっかり打って、それがゴールにつながって良かったです。
最後のプレスバックは、チームの決め事としてもやっていこうというのもありましたし、FWの選手だからプレスバックをしなくていいというわけではないので、全員で守るという意味でしっかり守るべき人が守っていくものだと思います。自分もそれを実際にやりながら、楽しんでやることもできたかなと思うので、チームとしても自分としても成長につながった良い経験だったと思いますし、今後も一丸となってやっていければなと思います。
Facts
主審 | 山下 良美 |
|---|---|
副審 | 鶴岡 泰樹, 池田 一洋 |
第4の審判員 | 平塚 将哲 |
入場者数 | 11,751 |
湿度 | 57% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 21.9°C |
天候 | 曇 |
Kickoff time | 2026年5月6日, 14時00分 |