泉と山本のゴールで敵地で首位・仙台を撃破
明治安田J2第14節は仙台とのアウェイゲームだ。
J2リーグは今季も混戦模様だが、3分の1を終えて徐々に勝点差が出始めている。首位の仙台と6位・大宮の勝点差は「6」。背後に迫る宮崎、大分との勝点差も小さく、これ以上は離されたくない。
連勝中の2位・新潟、8戦負けなしの5位・湘南と勢いのあるライバルも多く、「自分たちのスタイルで未来を作っていきたい」ナダル監督の思いを実現するためにも、勝って上位陣に食らいつきたい。
前節・横浜FC戦からの先発変更は3人。右SBに関口が3試合ぶりに復帰し、CBにガブリエウ、インサイドハーフに山本が入った。出場停止の加藤玄に代わって出場の中山は、中盤の底でエドワード真秀とダブルボランチを形成。また、16歳になったばかりの迫田が、この大一番でメンバー入りを果たした。
開始早々、仙台にアクシデントが起きる。中盤でターンしたカプリーニについてきた左CBのマテウス・モラエスが右足を負傷。すると直後、立ち位置を変えてきた仙台に対し、大宮は右サイドの関口が勝負を仕掛ける。エドワードからスルーパスを受け、ドリブルで深くえぐり折り返す。ゴール前にポジションを取ったカルリーニョス・ジュニオには合わなかったが、得点の匂いが漂う崩しだった。
14分、左サイドを岩渕に抜け出されてピンチとなるが、ペナルティエリア内から中島に放たれた強烈なシュートはトム・グローバーが弾いて難を逃れる。だが、その後も押し込まれる時間が長く、一瞬の気の緩みも許されない緊迫の展開が続く。
25分過ぎ、試合がやや落ち着き大宮がボールを持ち始めたところ、相手GKのキックをクリアにいった尾崎が梅木と接触。ピッチに倒れ込み不安が広がったが、問題なくプレーを続行した。
大宮は最後尾からパスをつなぎ、機を見て縦パスを差し込んで前進する。コンパクトな中盤では複数人が絡んで仙台のプレスをはがし、山本がゴール前までボールを運ぶ。杉山のドリブルは尾崎が絶妙なカバーリングで封じ、ペナルティエリア内まで進入してきた中島はエドワードが屈強な身体で跳ね返した。
待望の先制点は45分。最終ラインの裏に抜けてきた梅木のシュートをトムがキャッチしたところから。スローインを受けたエドワードが山本に預けると、相手を引き寄せ左サイドから中央に入ってきた泉へ。ゴール前を見ながら右足のアウトサイドで入れたボールがこぼれてくると、「結構フリーだったので流し込むだけでした」と振り返った、狙いすました右足シュートでゴールネットを揺らした。
両チームの狙いと持ち味が反映された濃密な45分が終わり、大宮は1点をリードしてハーフタイムを迎えた。
後半開始直後、大宮は勢いを持って前へ出る。カプリーニが左サイドに流れながら起点を作り、山本、カルリーニョスとのパス交換から右足でクロスを上げる。だが、これはそのままゴールラインを割った。
53分、石井のクロスに合わせた岩渕のスーパーボレーで追いつかれたが、大宮はそこから反撃に出る。59分、カプリーニの浮き球に走り込んだカルリーニョスはミートできなかったものの、こぼれ球に詰めた関口がフィニッシュ。GKが弾いたところをエドワードが狙い、続けて関口が押し込んだが、これはオフサイドの判定でゴールならず。
それでも6分後、正真正銘の追加点が生まれる。左サイドから泉が仕掛け、こぼれ球を拾ったカルリーニョスがタメを作ると、外側を回った泉が右足で狙う。これはGKに弾かれたが、正面にいた山本が押し込み再びリードを奪った。
ベンチが動いたのは76分。カルリーニョスとカプリーニに代えて、豊川と小林が投入された。さらに80分に泉に代えて、日髙を送り込む。すると、カウンターから日髙がCKを獲得。そこで得た山本のCKを相手GKがファンブルする場面もあったが、ここはクリアにあい3点目とはならなかった。
残り時間が減るなか、ナダル監督はエドワードに代えて西尾を起用。最終ラインを5枚に増やし、仙台の猛攻に対応する。89分にリスタートから受けたカウンターの場面ではゴール前に戻った選手全員が身体を投げ出し、最後はガブリエウが渾身のシュートブロックで失点を食い止めた。
アディショナルタイムは9分。ロングボールもおりまぜて圧力を強めてきた仙台に対し、大宮は尾崎、ガブリエウ、西尾の3人が高さで対抗。関口と加藤聖も集中を切らさず、自由にはクロスを上げさせない。アウェイまで詰めかけたファン・サポーターの声援が響くなか、選手全員で耐え抜き、アウェイで貴重な勝点3を獲得した。
試合後、「両チームともすばらしいクオリティをピッチで表現した試合」(ナダル監督)で勝点3を手に入れた指揮官は、「努力が報われた意味は大きいし、今日の試合で得た自信が成長につながるのではないかと思います」と手応えを口にした。
終盤にピッチに投入されて勝利に貢献した西尾は、「勝点3だけが必要だった首位との対決で粘り強く勝てた。ここからの流れを大きく左右する試合だったと思うので、ポジティブにとらえていいと思います」とコメント。開幕戦以来のゴールが決勝点となった山本は「今日のようなヒリヒリする試合で決められたことは嬉しいですが、もっともっと点を取りたいし勝たないとダメだなと。だから次だなと思います」と、笑顔を見せながらも次なる戦いを見据えていた。
次節、15試合目のリーグ戦は3日後、中2日でホームにいわきを迎える。
(総評:粕川 哲男)
監督コメント
すばらしい2チームによる、すばらしい試合だったと思います。両チームとも高いクオリティをピッチ上で表現してくれました。ここまで14試合を戦ってきましたが、その中でも一番クオリティの高い試合だったと感じています。こうしたいいチーム同士が対戦するときに大事になるのは、自分たちにチャンスが訪れた瞬間や、自分たちの時間帯を逃さないことだと思います。なぜなら、両チームともチャンスを作ることができるからです。
今日は感情面でもしっかりとゲームをコントロールできたと思いますし、選手たちがピッチ上で走る姿を見ても、本当によく頑張ってくれたと感じています。われわれが大事にしている指標の一つに、相手よりも走るというものがあります。今日の選手たちは、それをしっかりと実践してくれました。先週までのデータでも、われわれはJ2リーグで最も走っているチームの一つだと認識しています。
今日の試合に向けた準備では、メンタル面で強く戦おうという話をしました。しっかりと地に足をつけて、最後のワンプレーまで戦い続けようと。スコアに関係なく、試合の中では難しい時間帯もあると思います。ただ、今日の選手たちは強いメンタリティと走る能力を見せてくれました。その結果として、勝点3を取ることができたと思っています。
前半の攻撃については、ポジショナルプレーが非常によくできていたと感じています。特に、アウェイのこのスタジアムで落ち着いてプレーできたことは良かったと思います。中盤に5人の選手を配置することで、ゲームを支配できたのではないかと考えています。後半に関しては、少しわれわれが求めているようなフットボールができなかったと思います。ただ、その中でも走ること、球際で戦って勝つこと、そして集中力を切らさないことを最後までやり通してくれました。
試合終盤には、システムを変更しなければいけない時間帯もありました。普段はあまり使わない形ですが、勝点3を最後まで守り切るために、そうした選択をしました。仙台のプレースタイルを考えると、西尾(隆矢)のような選手がピッチに入ってきて、リーダーシップや情熱を持ってディフェンスラインでプレーしてくれることは、非常に心強かったです。
彼(山本)にとっても今日のゴールは非常に大事なゴールだったと思います。ここ数試合でもチャンスはあったのですが、なかなか決め切ることができていませんでした。(山本)桜大は、われわれのチームでベストプレーヤーの一人だと思っています。ここまで14試合を戦ってきましたが、おそらく10試合くらいは彼がいない状態で戦わなければいけませんでした。どのチームでも、ベストプレーヤーがいなくなれば、その影響は大きいと思います。だからこそ、今日は彼にとって非常にいい日になったのではないでしょうか。彼自身だけでなく、ファン・サポーターの皆さん、そしてクラブにとってもいい日になったと思います。
今日、仙台まで来てくださった約2,000人のファン・サポーターの皆さんは、本当にすばらしかったと思います。特に試合終盤、彼らが送ってくれるエネルギーには非常に大きな意味があると感じました。今日は仙台のファン・サポーターも20,000人ぐらいいたかもしれません。その中でも、われわれが自分たちらしくプレーできたのは、大宮の約2,000人のファン・サポーターが後押ししてくれていることを、選手たちが感じられたからではないでしょうか。試合終盤の難しい時間帯に、彼らの声援は本当に大きな力になったと思います。今日獲得した勝点3は、私自身もそうですし、選手、チーム全員からファン・サポーターの皆さんに捧げたいと思います。
選手コメント
結構難しいゲームでしたが、決めなければいけないところでしっかり決め切れて、守らなければいけないところでしっかり守れたので、それが勝利につながったと思います。
(先制ゴールについては)試合の中で仕掛ける回数が結構多かったので、内側のレーンが空くというイメージがありました。実際にスペースが見えたので、ボールを当てて内側に潜っていく意識で入っていったら、ボールがこぼれてきたので、冷静に流し込むだけでした。
(山本桜大選手の勝越しゴールにつながったプレーについては)カルリーニョス(ジュニオ)がボールを持つと結構時間が生まれるので、その間に自分がフリーで走り込む時間ができます。それがゴールにつながって良かったと思います。もともとカプリーニとは長い時間一緒にプレーしているので、連係はだいぶ積み上がっていると思いますが、カルリーニョスについても少しずつ彼の位置が見えるようになってきましたし、逆に彼も自分を見てくれる回数が増えてきていると思うので、いい関係性を築けているのではないかと思います。
(仙台まで駆けつけたファン・サポーターについては)仙台のファン・サポーターもすごい声量で、結構威圧感を感じました。それでも大宮のファン・サポーターの皆さんの声が聞こえていたので、かなり力になりましたし、得点後はとても気持ち良かったです。(スタジアムの雰囲気については)プレッシャーは全然ありませんでした。本当にサッカーをやっていて幸せだと感じる瞬間なので、あの雰囲気の中でゴールを決められて良かったと思います。
(次節のいわき戦に向けては)一つ勝つだけでは全然意味がないので、今日の勝利を無駄にしないためにも、次もしっかり勝点3を取れるように頑張っていきたいと思います。
少し硬さはあったと思いますが、いい形で先制できました。その中で後半にちょっとしたスキを突かれて(失点して)しまいましたが、そこで一気に相手に流れを渡さず、勝ち越しゴールを決められて、最後はみんなで守り切れたことはすごくポジティブだと思います。
(自身にとって今日のゴールの意味については)5試合ぐらい得点を取れていなかったので、やっぱり結果を残せたことはうれしいです。ただ、次もこれを継続していきたいです。(ゴールシーンを振り返って)彼らと(泉)柊椰くんがうまくコンビネーションで崩して、柊椰くんがシュートを打つときには、もう準備していました。こぼれてきたボールを決められて良かったです。(粘り強く押し込んだゴールについては)ゴールはゴールなので、うれしいなという感じです。
先制点の場面は、(エドワード)真秀が前向きでボールを持つ形が多かったので、相手の間にパスをつけてほしいということは伝えていました。そこで自分の動きをうまく見てパスを出してくれたのが良かったですし、あとは柊椰くんと彼らの個の力で得点できて良かったと思います。
(4試合ぶりの勝利については)正直、どこが相手でも、まずは勝つことが大事だと思っています。勝って、勝ってというところで、もう負けられないと思っています。もちろん今日勝てたことはうれしいですけど、みんなもすぐに次、次という感じだったので、しっかり切り替えていきたいです。
今日は非常にタフな試合だったと思います。自分の仕事は、まずシュートをセーブすることなので、それがしっかりできたことはうれしく思っています。ただ、次の試合が火曜日にあるので、今日は喜ぶところは喜んで、また明日から次の試合に向けて頑張っていきたいと思います。
サッカーというのは、自分たちが試合を支配する時間帯もあれば、そうでない時間帯もあるスポーツだと思います。前半は自分たちが試合を支配できていたと感じていますし、1-0でハーフタイムを迎えるにふさわしい内容だったと思います。ただ、後半は守らなければいけない時間帯がありました。
その中で、チームとしての強さを示すことができたと思います。サッカーは守ることも、攻撃することもある競技で、前半に得点できたことは非常に良かったですが、そのあとに相手のチャンスが訪れることも分かっていました。実際に失点してしまいましたが、そのあとも相手の攻撃をしのぎ、最後に得点できたことは良かったと思います。今日の試合では多くのことを学べたので、これを生かしてチームとしてさらに成長していきたいです。
(守備陣が最後まで集中力を切らさなかったことについては)特にアディショナルタイムが9分間という非常に長い時間だったので、最後まで集中力を保つことが重要でした。チーム全員が集中して戦えたと思います。今日の試合を通して、99分間集中し続けることの大切さを学びました。また、相手に押し込まれてプレッシャーを受ける時間帯があっても、それに耐えて勝つことができると分かったことも、大きな収穫だったと思います。
Facts
主審 | 先立 圭吾 |
|---|---|
副審 | 池田 一洋, 清水 拓 |
第4の審判員 | 数原 武志 |
Stadium | ユアテックスタジアム仙台 |
入場者数 | 15,423 |
湿度 | 59% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 17.8°C |
天候 | 晴 |
Kickoff time | 2026年10月31日, 14時00分 |