J2残留圏内の20位との勝点差は、試合前の時点で「6」。その背中に、あと一歩で手が届くところまで這い上がってきた。前節の岡山戦、土壇場での室井のプロ初ゴールで奪った勝点1を、より価値あるものにしなければならない。
今日の対戦相手であるベガルタ仙台は、現在11試合勝ちなしと苦しんでいる。大宮アルディージャは、ここ5試合負けなしの勢いを失わずに、アウェイから確実に勝点3を持ち帰りたい。原崎監督とすべての選手たちが、「勝ち続けるしかない」ことを肝に銘じているはずだ。
試合は、暑さの残るユアテックスタジアム仙台を舞台に、仙台のキックオフで始まった。
両チームとも先手を取りたい立ち上がり。大宮は相手最終ラインからのロングボールにカイケと新里が対応しきれず、こぼれ球を郷家に狙われたが、CKに逃れて先制を許すことはなかった。
手堅い守備でリズムを作りながら、攻撃に転じた場合は小島、高柳の両ボランチが起点となり、確実にパスを繋いでいく。ビルドアップで効いていたのは右CBに入ったカイケだ。自ら持ち上がるだけでなく、縦パスを入れ、時には大きなサイドチェンジで状況を変えるなど、試合を作ることに寄与していた。
30分、内田に右サイドを深くえぐられ、クロスボールを松崎に頭で合わせられたものの、新里が必死に右足を伸ばしてクリア。枠を捉えていた決定的シュートだったが、スコアは動かなかった。さらに3分後、今度も右サイドを崩され、齋藤のクロスに飛び込んだ郷家に鋭いヘディングシュートを許したが、ここは笠原が渾身のセーブ。あわやのピンチが連続したが、守備陣の踏ん張りでゴールを守り抜いた。
ボールを握られる時間が長くなり、攻撃で見せ場を作れない。だが42分、前線に人数をかけた大宮に好機が訪れる。厚みのある攻撃に参加した市原のラストパスを受け、シュヴィルツォクが右足を振り抜く。強烈な一撃はバーを越えたが、その右足に期待が高まった。
前半アディショナルタイムのFKでは、シュヴィルツォクと高柳の息の合ったプレーから最後は小島が左足で狙ったが、相手に当たりCK。それでも、デザインされたセットプレーは可能性を感じさせた。
ともにスコアレスで迎えた後半、仙台がよりゴールへの圧力を強めてきたが、大宮はカイケが存在感を示す。ポケットに走り込んだ郷家を身体で封じ、直後のクロスは高さと強さで跳ね返した。
59分には自陣からのカウンターのチャンス。高柳が運び、アンジェロッティがつないで、最後は長い距離を走り抜いた飯田がシュートを放ったが、対応した福森に防がれてネットを揺らすことはできなかった。
直後、ベンチが動く。原崎監督は泉澤、中野、室井をピッチに送り込み、前線の運動量と機動力によりゴールを目指した。すると大宮に流れが傾く。飯田のロングパスに中野が抜け出し、果敢なドリブルから泉澤がフィニッシュ。途中出場した氣田に決定機を許したが、それでもゴールへの意識を保ち続けた。
試合時間は、残り10分。仙台も決して下がらず、大宮も譲らない。勝点3を巡り、両チームの意地と勝利への欲求が交錯する。84分、大宮に千載一遇のチャンス。飯田の縦パスを中野が粘って繋ぎ、室井がゴールへ向かう。相手と1対2の状況のままエリア内に侵入しようとした矢先、エヴェルトンに倒されてファウルの判定。だが、絶好の位置からの高柳のFKは、枠を捉えることができなかった。
すると終了間際の90+6分、CKからエヴェルトンにヘディングシュートを許し、直後にタイムアップの笛を聞く結果となった。
5戦負けなしの流れは途切れた。ただし、戦いが終わったわけではない。原崎監督は「下を向いている時間はない。勝点3を取り続ける覚悟を持って、やり続けなければならない」と口にした。残り11試合。顔を上げ、気持ちを切り替え、もう一度ギアを上げて、必ず目標を成し遂げる。
(総評:
粕川 哲男)
選手・スタッフコメント
監督 原崎 政人
本当に勝点3を取らなければいけない、取りにきた試合で、勝点3を取れなかったということがすべてです。ファン・サポーターの方がたくさん来てくださって、どうしても勝点3を届けたかったのですが、非常に残念な試合になりました。
前半は、もう少し自分たちでボール動かしたかったですし、守備のところで後手を踏んだかなと思います。この湿度の中でどうしても疲弊してくるので、後半は距離感や立ち位置を見直して入りました。途中から入った選手も含めて、狙いとしてきたスペースを取りながらチャンスもあったのですが、そこを決め切ることができず、最後も踏ん張り切ることができませんでした。
もう少し自分たちがボールを動かさなければ苦しくなることはわかっていたのですが、守備をしている時間が少し長くなってしまったと感じています。
MF 11 黒川 淳史
アンジェ(アンジェロッティ)とクバ(シュヴィルツォク)が入って、いつもよりアタックに重点を置く形になったので、そこをうまくサポートできればと思っていました。アンジェが少し前に上がって5-3-2に近い形になると思ったので、チームとして求められてることを遂行しつつ、自分のプレーを出していければと思って試合に入りました。
僕自身もまだまだできることはたくさんあったと思いますし、もっといいアイデアを出せればよかったです。何度か崩せた場面はありましたが、後ろからボールが回ってきて自分の前の選手がいい形で受けるシーンはなかなか作れていなかったので、僕たちの動きやポジション取りであったり、自分たちで1回ピックアップしてから入っていくというようなことをもっとやれたらいいかなと思います。
新加入の選手も入ってチームが少し良い流れになってきた中で敗戦という形になりましたが、ここでもう一度足元を見つめ直してやっていかなければいけないと思います。来週はホームでできるので、1週間いい競争をして、NACKで勝てるように準備したいです。
MF 32 高柳 郁弥
自分たちにとって難しい時間が多かった試合でした。その中でも大きく崩れることなく守備ができたことはよかったですが、最後に失点してしまったのは前節も同じでそれは課題ですし、点が取れなかったことに関しても足りない部分があるので、そこはもっとこだわってやっていかなければいけないと感じています。
クバ(シュヴィルツォク)とアンジェ(アンジェロッティ)がタメを作る選手なので、2人に当てながら自分たちが前向きに入ってスピードを上げていくことであったり、彼らが作ったスペースを有効に使えればと思っていましたが、なかなか縦に刺すこともできませんでした。幅を使いながら攻撃しようとしましたが、厚みのある攻撃はできなかった印象があるので、そこでいかに厚みを持たせるか、どうにかしてこじ開けていくためにもっとアイディアが必要ですし、自分のようなポジションの選手がやっていかなければいけない部分だと思います。
すべてがうまくいくわけではないですが、勝点3を積み重ねなくてはいけない状況でそれを求めていくために、90分間、最初から出る選手も途中から出る選手もハードワークしなければいけないですし、攻撃でも守備でも、もっとこだわりを持って、勝点3に対してもっと貪欲になってプレーしていきたいです。
FW 19 アンジェロッティ
前半は内側からパスを通される形が多くて、後半はそれを修正して何度か自分たちの形に持っていくことができましたが、自分たちの一瞬のスキを相手が見逃さず、セットプレーで失点しました。
累積で出場停止になって、そのあとは2試合連続で控えからのスタートになりましたが、今日はスタートから出て自分がやるべきことはやれたのかなと思います。自分が今やらなければいけないこと、求められていることは、自分でもしっかりとわかっていますし、近い距離でのコンビネーションや守備でのハードワークは自分の中ではできたと思いますが、大事な勝点3は取れなかったのでそれがすべてだと思います。
クバ(シュヴィルツォク)とはかなり近い位置でプレーできていましたし、コンビネーションで崩す場面も何度かあって惜しい場面もありました。お互いに立ち位置を気にしながらプレーできたので、連携をより深めていければより良い関係でプレーできると思います。
前節も終了間際に失点してなんとか追いつくことはできましたが、自分たちが置かれている状況は引分けではダメですし、常に勝点3を意識してプレーしなければいけないので、チームとしてより細かい部分まで取り組んでいきたいです。
Facts
主審 | 柿沼 亨 |
|---|---|
副審 | 田尻 智計, 藤井 陽一 |
第4の審判員 | 小出 貴彦 |
入場者数 | 12,141 |
湿度 | 73% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 28.9°C |
天候 | 晴、無風 |
Kickoff time | 2023年8月19日, 19時00分 |