開幕から山形、甲府をホームに迎えて2連勝。2025シーズンの明治安田J2リーグで上々の滑り出しを見せる大宮は第3節、熊本で今季初のアウェイゲームに臨んだ。
大木監督が6年目の指揮を執る熊本は、自らアクションを起こし、ボールを保持しながら試合を進める確固たるスタイルを貫いている。開幕戦は長崎との撃ち合いに敗れて2-3で落としたが、前節はホームで札幌と戦い3-0の完勝。そんな相手に対して、大宮の戦い方がどこまで通用するのか。
長澤監督は熊本戦に向け「今の時点ではたぶん一番力がある。どこと試合をしても勝てる感じなので、しっかりやり合わないとというのが大前提。受けたりスキを作ったりしたら、そのまま持っていかれる」と分析。熊本県出身の豊川も「インテンシティで負けないことに尽きると思います。一人ひとりがうまくやろうと思わず、先手を取ってガンガン行くことが大事」と語り、自身の大宮移籍後初得点に関しては「流れ的には悪くないので、地元で決めたいです」と、闘志を燃やしていた。
先発のピッチには前節の甲府戦と同じ11人が立った。最後尾に笠原が立ち、ガブリエウ、濱田、下口の3人が最終ラインを固め、右に茂木、左に泉。アルトゥール・シルバと小島がドイスボランチ、豊川と杉本が2シャドー、藤井が1トップを務めた。
序盤、しっかりとボールをつないでサイドから攻めてくる熊本に何本か危ないクロスを入れられたが、守備陣が手堅く対応。身体を張って跳ね返し、ピンチには至らなかった。
なかなか自分たちの時間を作れない中、それでも最初にチャンスを迎えたのは大宮だ。セカンドボールを拾った小島のスルーパスを受けた泉が左サイドから低くて速いクロスを入れる。GK佐藤が足で弾いたボールに反応したのは豊川。すばやく右足を振ったが、このシュートは相手に防がれてしまった。
ともに主導権を握ることができず、大宮はCKからのピンチを笠原が懸命のセーブでしのぎ、豊川とのコンビネーションで抜け出した藤井がチャンスをうかがう。
29分には、左サイドで小島のパスを受けた杉本が絶妙な切り返しからフィニッシュ。相手に当たったボールを藤井が続けて狙い、そのこぼれ球を豊川がオーバーヘッドで捉えるシーンもあった。カウンターのピンチになりかけた場面では杉本が献身的なスライディングを披露し、熊本のペナルティエリア内への侵入に対しては連動した守備でシュートを許さない。
前半は、どちらが先手を取るかまったくわからない緊迫した展開。ゴール前での攻防が連続し、予断を許さない展開のまま両チーム無得点でハーフタイムとなった。
後半、最初の決定機は大宮。泉のFKをファーサイドで待ち構えていた濱田がヘディングで叩いたが、外側からサイドネットを揺らすにとどまる。しかし、5分後に歓喜が訪れた。
55分、藤井がボールを持ち運んで杉本が狙い、こぼれ球を拾ったシルバがクロス。豊川のヘディングシュートはポストに阻まれたが、それを泉が押し込み先制点とした。追加点は、その2分後、右サイドのガブリエウが縦に刺したスルーパスに抜け出した藤井が、そのまま持ち込み右足を強振。地を這うような強烈な一撃がニアサイドを撃ち抜き、貴重な追加点となった。
大宮の勢いは止まらない。62分、小島とワンツーを決めたシルバが丁寧なスルーパスを前方へ送る。そのボールに驚異的スピードで追いついたのは藤井だ。飛び出してきた相手GKより先に、右足アウトのチップキックでリードを3点に広げた。
残り15分、長澤監督は3人同時交代。茂木、豊川、藤井に代えて関口、谷内田、オリオラ・サンデーを投入。さらに終盤には泉に代えて安光、杉本に代えてカプリーニを送り込んだ。メンバー変更後も大宮のパフォーマンスは落ちず、ボールを持たれる我慢の展開の中、それぞれが貪欲に勝利を目指した。
5分のアディショナルタイムにも集中力は途切れず、ガブリエウのロングパスに抜け出したサンデーがポスト直撃のシュート。そして90+5分。ドリブルで右サイドを突破した関口がマイナスに折り返すと、ニアサイドで谷内田が潰れ、フリーのカプリーニがダメ押しの4点目に結びつけた。終わってみれば4-0。今季初のアウェイゲームは、攻守の充実ぶりが如実に表れる快勝となった。
試合後、長澤監督は熊本の特長と話した走る、戦うという「本質の部分」について、「今日に関しては立ち上がりから相手も素晴らしかったけど、我々もすばらしかった」と手応えを口にした。先制点を押し込んだ泉は「良い練習、良い準備ができていたからこそのゲーム。2試合ゴールが取れてなかったので、ホッとしました」と笑顔を見せた。また、移籍加入後初ゴールを決めたカプリーニが口にしたのも「日頃の練習の充実度、チーム全員のコンディションの良さ」だった。
これで開幕3連勝。得失点差ながら首位にも立った。しかし、やるべきことに変わりはない。ホームで迎える次節の山口戦も、目の前の一戦に全力を注ぐだけだ。
(総評:
粕川 哲男)
選手・スタッフコメント
監督 長澤 徹
大宮から300人近くのサポーターが来てくださって、本当に感謝しています。昨年はJ3で戦いましたが、こういう日曜日の日程とか遠いところでもいつも応援に駆けつけてくれて、我々を信じて来てくれるので、本当に感謝しています。勝たせてもらったと思っています。ありがとうございました。
ファイナルスコアは4-0だったのですが、前半の熊本の入り方とかを加味すると逆のスコアもあったかなと、正直思っています。ゲームのポイントは、最初の相手の勢いがある時間帯をしっかり耐久したところで、そこは選手がプレッシャーの速さに目がどれぐらいで追いつくかなと思って観ていたのですが、今週のトレーニングでかなり厳しいプレッシャーの中でやっていたので、20分過ぎからちゃんと自分たちのペースで持っていけるようになり決定機を作れるようになったのですが、相手のすばらしいディフェンスもあったので、後半はどうなるかなと思ってゲームを観ていました。ハーフタイムに少し修正して、相手のゴール前でどう仕掛けるかというのが一番ポイントだったのですが、その点に関してはよくレスポンスして選手が反応してくれたと思っています。
いずれにしても次のゲームがまた来るので、我々は後ろを振り返ることはないので、とにかく次のゲームにすべてをかけて準備をして、またやっていきたいと思います。ホームに帰れるので、しっかりと強度を高めていきたいと思っています。
FW 42 藤井 一志
チーム全体としては、しっかり守備耐えるところ耐えてしっかり出ていくところ出ていけばチャンスは必ず来ると自分たちでしっかり共通認識を持っていました。しっかり守るところは全員で守ってというところは全員にズレがなかったので、その結果先制点につながりました。
僕自身もちょっとミスが続いたんですけど、「ミスしてもストライカーは点が取れればいいから」というマリオ ゴメスの助言をずっと念頭に置いてやっていたので、ずっとチャンスをうかがっていた中でしっかりとチャンスを2点とも仕留めることができたことは自信につながるかなと思います。
僕の1点目は、ガブ(ガブリエウ)はつねに自分たちのアクションを見てくれるので、降りるか抜けるかは相手見てっていう感じで僕自身アクション起こそうと思ってた中で、相手が一瞬ちょっと背後のスペース空けたのでガブを信じて動き出しました。そこにあとは流し込むだけみたいなパスをくれたので、信頼関係も徐々にできてきているかなと思います。
2点目は、抜けたときに相手のGKが出てきてコースないかなって思ったんですけど、ゴールが続いてるっていうところもあって冷静だったなって自分でも思います。
ストライカーとしての動き出しや起点の作り方のところは、光さん(戸田 光洋コーチ)と毎週のようにミーティングしていて、いろいろ練習で試す中でこうやってゲームでその成果が出せたっていうのは光さんにも感謝したいですし、まだまだ課題多いので今後もいろいろ教わって吸収して成長していきたいなと思っています。
3試合連続ゴールはちょっと出来過ぎかなとは思うんですけど、まだまだ課題が多いですし、点を取るところ以外の部分で果たしてどれだけチームに貢献できていたかっていうと今日はそこまでの仕事ができなかったです。それでも、点を取ってる中で反省して次に生かせるっていうのはいいことなので、また練習からこだわってやっていきたいと思っています。
FW 29 カプリーニ
RB大宮アルディージャのユニフォームを着て初ゴールということで自分自身すごくうれしいですし、もっともっと決めたいです。
得点シーンは、(関口)凱心がボールを持ったときに声をかけていて、深くいったところでマイナスのボールを入れてくれました。そこにやち(谷内田哲平)もいて、やちもちゃんとそのボールに触りそうな相手の選手を潰してくれていたので自分にしっかりボールが届いて、良い形でゴールを決めることができました。
僕たちは練習からかなり強度の高いトレーニングをやっていると思っているので、控えのメンバーにしても試合に携わらないメンバーにしても、1週間の練習の中でかなりいいものができてると思います。試合の結果を見てもそうですけど、途中交代で入る選手も高い基準でプレーできると思うので、それが今の連勝にもつながっていますし、こうやっていいサッカーができてるのはみんなが練習からしっかりやってるからなのかなと思います。
自分たちが組織でやってる以上、出場機会が少ないにしても与えられた時間でいかに自分がしっかりとプレーできるかっていうのが大事ですし、少ないからこそやはりもっともっとやらないといけないと思っています。限られた時間の中でも与えられた時間でしっかりと自分の役割をこなす、それに対してしっかりと準備をするっていうのが自分の中で大事な部分なのかなと思います。
MF 14 泉 柊椰
練習から本当に全員集中して良い練習ができていましたし、良い準備ができたからこそのゲームだったのかなと思います。
熊本はつなぐのもうまいですし、奪われた瞬間の切り替えのところも早かったです。技術はもちろんありましたけど最後割らせなければ大丈夫ですし、こっちもチャンスを作れていたので、先に点を取ればいけるかなというのをチームの中で共有していたので、先に取れて良かったかなと思っています。
先制点のシーンは、3本ぐらいスプリント重なって、アルトゥール(シルバ)が奪ったところから始まって、(藤井)一志がうまいこと相手のバランスを崩してくれて、(杉本)健勇くんもズラしてっていうので相手のディフェンスラインはガタガタだったので、どこかでこぼれてくるかなって思いながらゴール前に走ったら、うまいことこぼれてきました。
ゴール前の質とかまだまだ突き詰めないといけないところはあるんですけど、僕自身コンディションもいいですし、やっぱり勝ちながら修正するのがリーグ戦をとおして大事だと思っています。今回良いゲームできましたけどまた来週すぐ次のゲームが迫っているので、また切り替えて準備したいなと思っています。
今うまいこといってますけど、もちろんリーグ戦は長いので苦しい時間もありますし、その中でいかにチームで同じ方向を向けるかっていうのも大事になってくると思っています。良いときは勝手にそろってくると思うんですけど、悪い瞬間も絶対来るのでそのときにみんなで目を合わせながらやっていきたいと思います。自分のところで攻守ともに質的優位を作れればチームがいい方向にいくのかなと思ってるので、そこには自分のプライドを持ってやりたいなと思っています。
Facts
主審 | 田中 玲匡 |
|---|---|
副審 | 宇治原 拓也, 柳岡 拓磨 |
第4の審判員 | 亀川 哲弘 |
入場者数 | 4,959 |
湿度 | 83% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 19.6°C |
天候 | 雨、弱風 |
Kickoff time | 2025年3月2日, 13時00分 |