前節の山口戦で今季初の逆転勝利を収めた大宮は、開幕から無傷の4連勝。首位の千葉と勝点で並び、総得点数「1差」の2位と、復帰1年目の明治安田J2リーグで好スタートを切っている。とはいえ、選手たちに緩みはない。
山口戦で同点ゴールを決めた小島は「2020年でしたっけ? 開幕4連勝のあとズルズルと落ちていって15位くらいだったのは。あの経験があるので喜べません。たったの4試合ですから」と笑顔を見せず、逆転ゴールを押し込んだアルトゥール・シルバも「4連勝はすごく嬉しいけど浮ついてる場合じゃない。しっかり練習して、強い鳥栖から勝点3を取れるように頑張りたい」と、表情を引き締めていた。練習に懸ける選手たちの熱量は、少しも変わっていない。
経験豊富な富山が「練習中の競争が一番激しい。いつもバチバチやれてるから、ゲームでも同じような激しさで戦えてる。(練習に)ついていくだけで精一杯ですよ」と言うほど充実した練習を重ねて迎えた鳥栖戦、先発はGK笠原。最終ラインはガブリエウ、市原、下口の3枚。右に茂木、左に泉。前節ともに得点している小島とシルバがピッチ中央でコンビを組み、杉本、豊川、藤井の3人が前線を彩った。
降りやまない雨の中、試合は鳥栖のキックオフで始まった。どちらも3-4-2-1の布陣。ミラーゲームとなった一戦は、立ち上がりから激しい競り合いが繰り広げられた。泉が空中戦で相手と交錯し、右サイドを崩されてからのクロスを市原がギリギリでクリアする。サイドを起点に攻めてくる鳥栖に対して、下口とシルバが数的優位を保って対応する場面も見られた。
なかなかシュートに持ち込めない大宮だが、連動した守備は崩れない。ガブリエウはイエローカードを提示されたあとも積極性を失わず、鋭い出足と空中戦の強さで守備を引き締めた。ポゼッションを許し、自陣で持ちこたえる時間帯が続いたが、カウンターから最初に決定機をつかんだのは大宮だ。
28分、直前に小島のパスからゴールに迫っていた泉が、今度は杉本のパスを受けて鳥栖の最終ラインの裏を突く。得意のドリブルとカットインでボールを持ち込んで右足を振り抜いたが、サイドネットへと飛んだ絶妙なフィニッシュは、相手GKに弾かれて先制点とはならなかった。
ピンチを凌いで迎えた38分。ペナルティエリア内での相手のクロスがガブリエウの手に当たってPKの判定。これを決められて以降はパスをつなぎながら何度か鳥栖のゴール前まで攻め込んだが、粘り強い守備対応の前に得点は奪えず。1点ビハインドでハーフタイムとなった。
前節同様、1点を追いかける展開となった後半、大宮は開始早々から立て続けにチャンスを演出した。セカンドボールを拾い、CKをつかむ。さらにショートカウンターを仕掛けてスローインを得ると、茂木のボールを市原がニアで逸らし、同点ゴールへの期待を膨らませた。
藤井、杉本、豊川の3人が前線で相手ボールを追い、自陣ゴール前では集中を切らすことなくゴールを守る。攻守が激しく入れ替わる中、杉本がGKと1対1になった数分後、あわやのヘディングシュートを放たれるなど、一瞬も目が離せない攻防が続いた。
藤井のリターンから小島が左足を振り、シルバの浮き球のラストパスを走り込んできた下口が狙うなど鳥栖ゴール前でのシーンが増える。右サイドを攻め上がった茂木のクロスも得点の気配を漂わせた。
長澤監督が動いたのは77分。藤井、茂木、豊川を下げて、谷内田、関口、カプリーニを送り込んだ。残りの試合時間が徐々に減る中、球際でのバトルが激しさを増し、両チームの選手たちが熱くなる場面も見られたが、大宮はひたすらゴールを目指した。
カプリーニが左足で、谷内田は右足で正確なクロスを入れる。ただ、鳥栖も譲らない。関口のクロスを捉えた泉のヘディングもゴールに届かず、時間が過ぎる。谷内田のラストパスから杉本が迎えた決定機がオフサイドとなる惜しいシーンもあったが、最後までゴールは生まれず、今季初黒星はアウェイでの完封負けとなった。
試合後、長澤監督は「前半のアグレッシブさと強度が出なかったのは、こちらの準備不足」と語った。小島は「鳥栖さんの堅さ、気持ち溢れるプレーにやられました」と振り返り、杉本は「後ろの選手たちが先制されてからすごく頑張ってくれていたので、なんとか追いつきたかったですけど。悔しいですね。この負けを受け入れて、試合で晴らすしかない」と前を向き、ガブリエウも「気持ちを切り替えて、次に向けてしっかり準備したい」と、次の一戦に目を向けた。
「勝っても負けても次」。昨年から徹底してきているこの思いを、次節ホームの水戸戦で体現したい。
(総評:
粕川 哲男)
選手・スタッフコメント
監督 長澤 徹
大宮からサポーターの方に来ていただいたのですが、勝点を届けることができなくて非常に申し訳なく思っております。
前半がすごく大事だと思ってしっかり準備をしてきたのですが、結果的には前半のアグレッシブさと強度がちょっと出なかったなというのは少しこちらの準備不足かなと思っています。少し構えるのが早くて、もう少しシステムを潰さずにプレッシャーにいきたかったのですが、少しスタジアムの圧もあったのかもしれませんが、いつものような形ではなくて受ける形になったと思います。その中でもピンチとかがあったわけではないのですがあのようなことは起こり得るので、今日のゲームのターニングとしては結局点が取れなかったことが事実だと思います。その辺はまたしっかり自分たちで磨いていかなければいけませんし、こういうゲームをやっぱり引分けとかに持っていって勝点を積み上げていけるようにならないとリーグ戦というのはなかなか上に出ていけないので、その辺は少し反省点かなと思っています。
ただ、攻勢に出てから、特に後半の立ち上がりでいけるかなと思っていて何回も割って入ってチャンスはあったのですが、その辺の部分をもう少し前半からアウェイであっても出せるようなリスクのかけ方ができればよかったなと思います。そこはまだ、どこでどれぐらいどの程度のリスクをかけるというのは少し目線が揃ってなかったかなと思うので、まだ序盤ですししっかり反省材料にしてまた次に向かっていきたいと思います。
MF 7 小島 幹敏
鳥栖の硬さというか気持ちあふれる感じにやられました。自分たちが点を決めないと勝てないし、引分けにも持っていけないので、あとはゴール前だけかなと思います。
前半の入りも今思い返すともっと襲いかからないといけなかったですし、もっと行って良かったかなと思います。鳥栖の守備が良かったのもありますし、自分たちのクオリティをゴール前で出さなきゃいけなかったのに、それが出せなかったなと感じました。
次に向けては、今日の前半みたいな感じにならないように、ゴール前とかはもっと上げていかないといけないし、自分たちがもっと前からプレッシャーをかけに行って襲いかかれればいいのかなと思います。
MF 15 中山 昂大
一番はミドルシュートを意識してゲームに入りました。あれだけ引き込んでいたので、ペナルティエリアの外くらいにこぼれてくるボールはずっと狙っていました。(長澤)徹さんにも言われてましたけど、そこは徹さんに言われてなくても多分狙っていたと思います。負けている状態だったので、勢いをもたらすことと縦にガンガンつけて自分が入るしかないと言われていたので、そこは意識してやっていました。
前半はベンチで見ていてちょっと少し消極的に感じましたし、相手がボールを動かすのに対していつもどおり自分たちがアグレッシブにやるというのが少し足りなかったかなとミーティングでも話していました。前半から後半のようにやっていれば、ああいう失点だったり、チャンスが増える状況だったりはもっと変わったかなと思うので、本当に後半みたいにビビらず臆せずアグレッシブにやるサッカーというのを次節も続けてやっていきたいと思います。
もっと最後の局面のところにこだわっていかないといけないですし、きれいにやるだけじゃなくて泥臭く、一人ひとりが足を振るっていう姿勢が少し足りなかったかなと思っています。良いところもあったんですけどやっぱりいつもと違う部分もあったので、そういうところはまた修正して一週間やっていく必要があると思います。
徹さんも話してましたけど本当に連敗はなしだと思いますし、自分も一週間ちゃんとアピールしてスタメンで出れるようにまずはそこを狙って、次勝てるように全員で良い準備をしていきたいと思います。
FW 23 杉本 健勇
終わってみればもっと前からいければ良かったと思いますけど、それでも守れるというここ4試合の自信も多少ありましたし、今日もいけるんじゃないかというところもあったので、そこは修正していけるところだと思います。
後半はチャンスもたくさんありましたし、1点やられたあとからは後ろはゼロで抑えてくれたので、そこは前の僕らの責任もあると思います。そこで2点3点取られたら厳しいと思いますけど、そこで連続で失点しなかったのと後ろは体張ってくれていたので、まずはなんとか追いつきたかったです。
こういうゲームが続くと思うので非常に悔しいですけど、連敗しないように次に向かっていきたいと思います。ここまで勝ってきたのもあって切り替えるのは非常に難しいですし、次の試合まで長く感じると思いますけど、試合で返すしかないので早く試合したいなと思います。
Facts
主審 | 山下 良美 |
|---|---|
副審 | 林 可人, 緒方 孝浩 |
第4の審判員 | 石丸 秀平 |
入場者数 | 5,588 |
湿度 | 90% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 7.6°C |
天候 | 雨、弱風 |
Kickoff time | 2025年3月15日, 14時00分 |