明治安田J2第19節は長崎とのアウェイゲームだ。
今季初の2試合連続ドローに終わった前節の愛媛戦後、キャプテンのガブリエウは仲間に檄を飛ばし、長崎戦に向けては「自分たちのアイデンティティとも言える強度の高さ、粘り強さ、みんなで戦うという持ち味をぶつけて、良い試合にしたい」と語り、気持ちを引き締めていた。
土壇場で勝点2を取り損ねた前々節の磐田戦、後半アディショナルタイムに追いついてなんとか勝点1を手に入れた前節の愛媛戦。この2試合から何を学び、長崎との一戦に生かすのか。
長澤監督が選んだ11人はGK笠原、3バックはガブリエウ、U-20日本代表から帰ってきた市原、下口。ピッチの中央は小島と並んで石川が9試合ぶりの先発。右のワイドに関口、左は泉。前線はカプリーニ、杉本、6試合ぶり先発のオリオラ・サンデーの3人。愛媛戦の先発から3名を変更した並びだ。
長崎のキックオフで始まった試合は、序盤から球際の激しさが目立つ展開となる。杉本と山口が身体をぶつけ合い、関口、カプリーニが鋭い寄せを見せる。石川は相手GKまでプレッシングをかけて、チーム全体の積極的な守備を体現。飛び出してきた増山はガブリエウが抑え、チャンスを作らせなかった。
最初の決定機は13分。左サイドで得た、この日1本目のCK。泉がカプリーニに落とし、ダイレクトで送り込んだクロスをファーサイドの市原が頭で叩く。ゴールラインを割ったようにも見えたが、これはGK後藤のセーブに阻まれて先制点とはならなかった。
しかし、その直後に歓喜が訪れた。こぼれ球をつないで、ペナルティエリア内の泉が中央へ低いクロスを入れる。相手の中途半端なクリアを拾ったのはサンデー。数人に囲まれたがうまくシュートコースを作り、右足でネットを揺らした。久しぶりに見せたバク転に、大宮のファン・サポーターが盛り上がる。
25分には、左サイドでカウンター気味にボールを運んだ小島から中央を走る杉本へパスが渡る。だが、狙いすました右足でのフィニッシュは惜しくも左ポストを直撃。3分後には石川、サンデー、泉がつないだボールを受けた杉本が再び右足を振ったが、枠をとらえることができなかった。
リードを奪って迎えた前半の残りは、やや押し込まれる。それでもガブリエウがことごとく跳ね返し、関口も冷静なシュートブロックでピンチを凌ぐ。一瞬の隙を突かれて阿部にミドルシュートを打ち込まれ、ガブリエウが負傷交代を余儀なくされたが、交代出場の村上が気迫に満ちたプレーを披露した。
45分、関口のクロスに合わせた杉本のヘディングシュートは相手GKの正面を突いたが、その2分後、右サイドで小島と杉本が小気味よくつないだボールに反応したカプリーニが、左足のダイレクトシュートを突き刺し、1点リードでハーフタイムとなった。
後半、ゴールへの圧力を強めてきた長崎に対し、大宮は粘り強く対応。中盤で小島が時間を作り、市原を中心とした最終ラインは相手の強烈な前線に自由を与えない。右サイドの関口も、増山の突破に食らいついて決定機を作らせなかった。
52分、セットプレーのこぼれ球をつながれて増山に強烈なシュートを決められたが、その後も随所で体を張り、主導権は渡さない。すると、55分に3点目が生まれる。ピッチ中央で市原からの縦パスを受けたサンデーが相手と激しく競り合いながら巧みに右足を振ると、ボールがポストの内側を叩きゴールへと吸い込まれた。
先発起用に応えたサンデー自身が「(市原)吏音が信じてパスを出してくれたので、自分の強みであるスピードを生かして決められました」と振り返った、特長を遺憾なく発揮したすばらしいゴールだった。
一進一退の展開の中、62分にベンチが動く。カプリーニに代わり豊川、サンデーに代わりファビアン・ゴンザレスが登場。直後に豊川がヘディングシュートを放つなど、調子の良い二人が、さらなるゴールを生み出してくれる期待が高まる。
66分には、左サイドに流れた豊川が右足でフィニッシュを放つ。美しい弧を描いた一撃がゴール右隅に飛んだが、これはGK後藤のファインセーブに防がれた。その後もゲームは一向に落ち着く気配を見せず、両ゴール前の攻防が続く。
77分、長澤監督は関口、石川、杉本に代え、茂木、谷内田、津久井を投入。しかし、その3分後にFKをフアンマに押し込まれて同点に。残り時間はスタジアムが異様な盛り上がりを見せる中、自陣で耐える展開となる。笠原が身を挺して守り、ゴンザレスがゴール前に戻ってクリアし、市原が足をつりながらもシュートをブロックする。
残り時間が刻々と減っていく中、スタンドの隅に陣取ったファン・サポーターも飛び跳ね、声を枯らし続ける。津久井のクロスを茂木が頭で狙い、豊川がFKでゴールを脅かす。その一方で相手のカウンターの際には、泉と下口が渾身のスライディングで食い止めた。
8分のアディショナルタイムにも両ゴール前で手に汗握る展開が繰り広げられた試合は、最後まで両者の意地がぶつかり合う熱いシーンが続き、最後は痛み分けのドローで終幕となった。
試合後、長澤監督は「こういう試合を勝ち切ったらチャンピオンが見えてくるんでしょうが、まだまだ試されている」と現状を分析しつつ、「前進しているな」と手応えも口にした。また市原も「最近勝ち切れていないですけど、負けてもいないので、優勝できると思います」と熱く語った。
19試合を終えて10勝6分3敗。勝点36の3位で前半戦を折り返した大宮は次節、アウェイで敗れた鳥栖をホームに迎えて後半戦のスタートを切る。
(総評:
粕川 哲男)
選手・スタッフコメント
監督 長澤 徹
約15,000人が入ったこのすばらしいスタジアムで、大宮からも1,000人ほどのサポーターの方に来ていただいたのですが、勝利を届けることができなくて少し責任を感じております。次、また頑張りたいと思います。
ゲームの方は、決定力がいろいろな場所にあって、あらゆる局面で支配してくる長崎に対して、我々は基本的にどの状況に対しても自分たちの方向、強度で対抗していくという形でゲームをスタートさせました。全体的には狙ったゲームです。そんなに堅く守り切れるわけもないし、かといって無謀に出て行っても刺されるだけだしというところで選手には伝えていましたが、最後につないで差し切るイメージでいったのですが、最後は打ち合いになって、向こうにも差されるかもしれない、こっちも差すかもしれないという展開になりましたが、アウェイのこの地に関しては痛み分けというところで、またホームでもう一回できるので次の試合でしっかりと決着つけられればと思っています。
戦術的には我々の良さが噛み合えば得点は取れるかなと思っていて、チャンスもあってポストに当たったりもしたのですが、その狙いは非常に良かったです。ただ、押し込んだときのラストパスの一個前が少していねいさが欠けていたので、浮いたボールとかバウンドボールとかを差し込むような形になっていたので、そこはしっかり修正しようというところと、サンデーがうまくスペースに抜けていたのですが、1点取って少しそこをキャンセルし始めたので、「いやいや守る気はないからね」ということで後半は送り出しました。
得点は取ったのですが、失点のところはもう少しなんとかなるかなと感じています。リスタートの流れから打ち込まれたりとか、最後でファイナルでマークを外したりとか、チームの問題というよりも個人的な問題なので、修正はそれほど難しくないなとスタッフと話をしていました。
次はまたホームに帰ってできるので、しっかりと勝点1を積み上げて、半分を折り返しての勝点36は選手たちがしっかりつかみ取ったので、勝点38が試合数×2なので絶対数だと思うのですが、足りないぶんはまたしっかり、謙虚にトレーニングをして次のゲームに臨んでいきたいと思います。
MF 津久井 匠海
リードしている場面で投入されたので、本当に勝ち切らなければいけなかったですし、もう1点取る力がないといけなかったと思います。僕の役目を全うできなかったので、もっともっとやらないといけないと思いましたし、本当に悔しい試合でした。
僕が交代で入ったということは追加点を求められていますし、決定機を作る仕事をもっともっとしないと投入された意味がないので、そこで自分の価値をもっと見出さないといけないと改めて感じました。
縦の推進力やゴールにかかわるプレー、ボールを奪うところをもっと突き詰めて、レベルアップしていきたいと思います。
長崎は本当に個のクオリティが高いですし、もともと力があるチームというのは知っていましたけど、こういうチームを上回らないといけないなと思いました。最後はオープンな展開でやり合いになったので、そこを刺せれば良かったなと思います。
今日は大宮の選手としてデビューできたことは僕にとって本当に価値のある一歩ですけど、そこで満足したら意味がないので、このチームに何を還元できるかをもっともっと考えて、次の練習からやっていきたいです。
アウェイまでこんなに大人数のサポーターの皆さんが駆けつけてくれたので、勝ちを届けられれば最高でしたけど、本当に力強いサポートになりました。次はNACKで試合があるので、そこでピッチに立てるように準備していきます。
DF 4 市原 吏音
3失点は不甲斐ないですし、全部セットプレーからの失点なので、チームとしてもう少しやれることがあったのではないかなとは思いますけど、スタジアムの雰囲気も良かったですし、個人的には楽しかったです。終盤は足もつっていたので、なんとか最後まで走り切れて良かったです。
3失点目は、中でもう少し雰囲気を作らなければいけなかったですし、警戒していた選手に点を取られてしまったので、マークしていた選手だけではなくて、あれはチーム全体の責任かなと思います。
最後のカウンターを防いだシーンは、フアンマ(デルガド)選手がパスコースを探していたのでシュートはないなと思っていて、とりあえずパスコースをどちらか切りたいなと思っていました。よく足が出たなという感じでしたけど、うまく対応できたと思います。
前半戦が終わって、個人的には徐々にコンディションが上がってきていて、最初よりは今の方が良いですし、よりやれる感じはあります。チームとしては、最近勝ち切れてはないですけど負けてもいないですし、優勝できると思います。
FW 90 オリオラ サンデー
試合が始まる前に監督からも「このスタジアムで、こういう雰囲気でやれることを楽しめないのだったら、それはもう間違っている」というような話もあったので、自分もやるべきことをやりましたし、とても楽しめるゲームでした。
1点目は、相手がクリアしたボールを自分が拾って、(泉)柊椰がフリーだったのでボールを出しましたけど、もう一回自分のところに戻ってくるだろうなと思っていたので、そのままペナルティエリア内に入っていきました。思ったとおり自分のところにボールが戻ってきて、まず一発目シュートを打とうと思ったのですが、自分の前にけっこう相手選手が多かったので、少しフェイントをかけて相手をかわしてからシュートを選択しました。自分の思ったとおりにいったシーンでした。
自分の2点目は、相手もスピードのある選手だったので、自分も強みであるスピードを生かした形での得点でした。(市原)吏音が自分のことを信じてボールを出してくれたことはとても良いことだと思っていますし、自分もそこでしっかりと決めて、やるべきことができて良かったです。
先制したあとも自分としてももう少しできたかなと思いますし、ハーフタイムにも監督から「これで自分たちも引かないぞ」という話もあったので、もっとアクションをかけて走って、味方がもっとチャンスを得られるような動きを増やしていければと思いましたし、そこは次の試合に向けての課題かなと思っています。
今日の試合はできたこともあったと思いますし、成長しようと今までいろいろやってきたことを見せることができたと思っています。ただこれで終わりにせずに、やっと1試合で2得点できたので、これからもまだまだ結果を残せるように、もっともっとやっていかなくてはいけないなと思っています。
リードしている段階でもっと点を取りにいくとか、攻守のバランスを取っていくとか、そういったところは、自分としてはもう少しやれることがあるのかなと思いますけど、チーム全体としてはやっていることは間違っていないと思います。
こういう試合で勝てないのはやはり悔しい思いはありますけど、自分たちはチームとして正しい方向に向かっていると思うので、今日やったことをさらに良くして、次に向かっていくことに集中して、やっていくべきだと思っています。
Facts
主審 | 池内 明彦 |
|---|---|
副審 | 大塚 晴弘, 畠山 大介 |
第4の審判員 | 佐々木 慎哉 |
入場者数 | 14,655 |
湿度 | 90% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 25.2°C |
天候 | 雨、弱風 |
Kickoff time | 2025年6月15日, 17時00分 |