明治安田J2・J3百年構想リーグ第5節は、いわきとのアウェイゲームだ。
いわきとはリーグ戦で過去4度対戦し、ここまで勝ちがない。宮沢監督と選手たちは初勝利に向けて、対戦相手を尊重しつつも「自分たちの良さを出す」ことに懸けている。球際のバトルや最後まで走り切るというサッカーの本質で後手に回らず、開幕5連勝につなげられるか。
小島の出場停止を受けて、宮沢監督は「去年からなかなかチャンスをつかみ切れず、悔しい思いをしてきた彼の覚悟に期待して抜擢しました」と中山を起用。中盤の底に加藤玄と並ぶ布陣を選んだ。ベンチには和田、神田、カウアン・ディニーズも控えている。前節・長野戦からのスタメン変更は3名。中山とカプリーニが今季初先発を飾り、オリオラ・サンデーが3試合ぶりにキックオフのピッチに立った。
風速7mとも言われた強風のなか、風下に立った大宮のキックオフで始まった試合は、立ち上がりから激しく身体をぶつけ合う展開となった。両チームとも、ボールが押し戻されるなど予測が難しいセカンドボールへの反応が早く、主導権を奪うまでは至らない。
大宮は、最終ラインの中央でコンビを組む西尾とイヨハを中心に前線のオウイエ・ウイリアムを抑え、ロングスローにも対応。20分には、山本のボール奪取から泉が掴んだCKで、加藤聖の正確なキックからいわきのゴールに迫った。
22分、跳ね返されたロングスローを茂木が入れ直すと、ファーサイドにこぼれたところを泉が狙う。これは相手GK佐々木に弾かれたが、先制点への期待が高まるシーンだった。その後は、中山が倒されて得たFKを加藤聖が狙い、相手のシュートをトム・グローバーがセーブし、泉はカットインから、中山はこぼれ球を拾ってからゴールを脅かすが、スコアは動かない。
前半終了間際はパスがつながるようになり、相手を押し込んだ状態で時計の針が進む。アディショナルタイムの茂木のロングスローは弾き返されたが、加藤玄が確実にカウンターの芽を潰し、両チーム得点のないままハーフタイムとなった。
風上に立った49分、縦パスに反応して相手最終ラインの裏に抜け出したカプリーニがGKと1対1の決定機を迎える。だが、ここは粘り強く戻ったDFのクリアにあいCKに逃げられる。加藤聖のキックも味方に届かず、先制点は生まれない。
最初の選手交代は59分。サンデーに代わり杉本がピッチに立った。大宮は中盤の競り合いで譲らず、こぼれ球を拾い、確実にパスを通す。62分には、スペースへ飛び出した杉本のラストパスを受けた泉が右足を振り、ゴールの可能性を感じさせた。
70分手前、連続して訪れたFKとCKのピンチは、高い集中力と身体を張った守備で跳ね返す。直後のピンチは最後まで諦めない守備が相手のシュートミスを誘う。そして74分、待望の先制点を決めたのは泉だ。左サイドからの加藤聖のクロスに飛び込み、3戦連発となるゴールをヘディングで叩き込んだ。
リードを奪った77分、宮沢監督はカウアンと松井を同時に送り込む。「もう一度、五分五分のボールを自分たちの方に持っていきたかった」という狙いがあったが、運動量を落とさないいわきに押し込まれ、83分にCKから追いつかれてしまった。
残り10分はホームの声援を受けて勢いづくいわきに攻め込まれるが、茂木が渾身のクリアを披露し、追加点は許さない。なんとか耐えてつかんだFKとCKでは加藤聖が得点の気配を漂わせたが、わずかに時間が足りず。杉本が右足アウトサイドで放ったフィニッシュも枠を捉えることができず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。
PK戦ではトムが最初の2本を完璧にストップするなど勝利が近づいたが、7人目までもつれた勝負を制することができず、今季初の敗戦を喫することに。しかし試合後、宮沢監督は「良いゲームができた」と手応えを語り、杉本は「切り替えが大事」と口にし、3試合連続でゴールを決めた泉は「修正して次で勝てればいいので、とにかく帰って修正ですね」と前を向いた。
大宮は次節、藤枝を相手に3試合ぶりとなるホームゲームを戦う。
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文:粕川哲男
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選手・スタッフコメント
監督 宮沢 悠生
すばらしい相手と良いゲームができたと思います。満足いく部分と、ここは修正しなければいけないなという部分が出た試合でした。自分たちがやろうとしていたことはできていたので、本当に悔しいですし、ただ、相手がすばらしいサッカーをしていたので、ここは相手を称賛したいと思っています。
(スタメンで出た中山昂大に期待したこと)メッセージもこもっているのですが、去年は悔しい思いをしてなかなかチャンスをつかみ切れなかった中で、プレシーズンから自分の良さをなんとか出そうとやっていました。今回、小島が出場停止になって、自分のチャンスをつかみ切れるかというところで彼の覚悟に期待して抜擢しました。
(追いつかれる展開になりましたが)セットプレーのところは自分たちが絶対にやらせたくない、積み上げていきたい部分で失点してしまったので、ここは相手のストロングでもありますが、自分たちもそこを積み重ねていって、こういう試合でも勝点3を取れるようなチームになっていきたいと思っています。
(後半、追加点を取るために)あそこまで相手ゴールに迫れていた中で、練習で振り抜いてゴールであったり、ミドルシュートを決めている選手たちがたくさんいるので、それをイメージしながらゴールの匂いはしていたのですが、やはり決め切るということ、いつも練習しているものをしっかり出すことが、こういうすばらしい相手に対してアウェイで勝点3を持って帰るためには必要だったのではないかと思います。風が強く自分たちが意図的にコントロールしながらサッカーをすることが難しい会場の中で、それでも個人技で、グループで剥がしていってゴールに意図的に迫っていくというところは、自分たちも選手たちも含めて、個人戦術、グループ戦術のところでもう少しなのかなというところはあるのですが、崩しの最後のところまでは行けていたので、僕はそこまで悲観する内容ではないのかなと思っています。
GK 24 トム グローバー
結果を見たときに、非常にがっかりする結果ではあると思います。1-0でリードをしていく中で、そこで勝ち切れなかったというところと、PK戦で2回勝てるチャンスがあったにもかかわらず、最終的に結果を見たら敗戦で終わったというところで、ここから学ぶこともあると思いますので、しっかりと学んで次に生かしていきたいなと思います。
(失点シーンは)セットプレーは相手チームの良さだと思いますし、しっかりと練習を重ねてあれだけの精度を持って得点を決めたのかなと思いますし、勝利に値する戦い方をしてたのではないかと思います。私たちは私たちで、これをまた教訓として、セットプレーでどうやって対応していくかというところをしっかりと練習を重ねて、次に生かしていきたいと思います。
PK戦は、やはり自分たちのサポーターの前で、その期待を背負ってパワーを感じながら戦えるというのは非常に大きなアドバンテージだと思います。勝利を捧げることができなかったことに関しては非常にがっかりしていますが、次にしっかりとつなげていきたいと思います。
MF 8 カウアン ディニース
神様がチャンスを与えてくれて、自分はここにいます。総合的に見ると自分はもっとやらなければいけないというのはあるのですが、試合に出場することができて、そのチャンスを与えてくれたチームにもすごく感謝していますし、またコンディションを上げて次もメンバーに入れるようにしたいです。
来日した当初はまだ寒さに慣れなくて、試合も長い期間やっていなかったですし、低い気温でプレーすることに慣れるのに少し時間がかかりました。ただ、今はもうトレーニングもしっかりやっていますし、ゲームも自分なりにやれているので、あとは試合の感覚をもっともっと研ぎ澄ませられたらと思います。今日のような風や寒さというのは自分は経験したことがなく難しい部分はありましたが、来日した当初よりは少しずつ慣れて良くなってきていますし、あとはもうサッカーに集中して、しっかりと自分が全力を出せるようにまた準備していきたいと思います。
まずはチームのために役に立つということ、やはり最後まで走り切る、競る、あとは自分の力をしっかりと発揮したいと思っています。自分の出場機会は自分で勝ち取らなければいけないと思っていますし、もっと長い時間プレーできるようにしたいのと、そこに見合うように自分のプレーの質、レベルを高めてやっていきたいと思います。
DF 88 西尾 隆矢
こういう試合は、勝点を拾って帰らなければといけないと思います。90分で試合を決められたということは 自分たちも自覚していて、そこは力不足だと感じました。ただ、これを引きずらずに、しっかりできたこともできなかったこともあるので、改善してまた切り替えてやっていきたいです。
風が強いのは前節も同じ状況だったので、みんな割り切ってやっていました。前半はしっかりプレーできていましたし、後半は少しずつ落ちつくかなと思ったのですが、なかなか落ちつかない時間もあった中で点が取れました。自分たちのほうがチャンスも多かったので、しっかり決めるところは課題ですし、失点のところも守り切らなければいけないというのはディフェンス陣としてもチームとしても課題だと思うので、これは次にしっかりつなげていかなければいけません。
PK戦ももちろん大事ですが、自分たちはやはり90分で勝点3を取って帰らなければいけなかった試合だったと終わってから感じました。自分たちに足りなかった部分もありましたし、日々の積み重ねでしっかり成果を出していかなければいけないと思うので、もっと日常からやっていきたいです。悔しさはありますが試合は続くので、下を向いてばかりではなく、切り替えて、またチームとしていい準備をしていきたいです。
Facts
主審 | 上原 直人 |
|---|---|
副審 | 金井 清一, 友政 利貴 |
第4の審判員 | 岩﨑 創一 |
入場者数 | 3,877 |
湿度 | 28% |
ピッチ状態 | 全面良芝 |
気温 | 12.6°C |
天候 | 晴 |
Kickoff time | 2026年3月7日, 14時00分 |