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浦和 vs 大宮
この夏、Jリーグは開催時期をヨーロッパに合わせて新たな船出を果たす。そんな2026/27シーズンの行方を占う大事なプレシーズンマッチの相手は浦和。2-2の引き分けに終わった2017年8月の対戦以来、実に9年ぶりとなるダービーマッチだ。
今季から大宮を率いるナルシス・ペラッチ・ナダル新監督は、ライプツィヒ、青森、函館における3回のキャンプで選手を見極め、土台を作り、戦術の浸透を図りながらチームを仕上げてきた。多くのファン・サポーターがその成果を初めて目の当たりにする機会が“さいたまダービー”となれば、より一層期待が高まる。実際、ナダル監督も「自分にとっても特別ですが、それ以上にクラブにとって特別な試合ではないかと思います。サポーターの皆さんを迎えて行なう初めての試合がダービーというのは本当に恵まれています。特別試合になることは間違いないです」とコメントしていた。
ナダル監督が採用するシステムは4-3-3。先発はゴールマウスにトム・グローバー、最終ラインは木寺、西尾、尾崎、加藤聖の4枚。中盤は加藤玄をアンカーに置く逆三角形で、山本と豊川がインサイドハーフを務めた。前線はカプリーニ、カルリーニョス・ジュニオ、泉の3人という、攻撃的な布陣だ。
開始1分、2分と、大宮は立て続けにピンチを迎える。相手のシュートミスと身体を張ったブロックで失点は回避したが、一瞬の気の緩みも許されない試合の入りとなった。それでも10分過ぎ、左サイドの加藤聖と泉が洗練されたテクニックを繰り出すと、大宮のパスが回り始める。
迎えた11分、左サイドに流れた豊川が右足で持ち直して中央へクロスを送る。それに頭で応えたのがカルリーニョスだ。マークの甘さを突いたヘディングシュートが先制点につながった。ところがその直後、アンカーの加藤玄が後方からボールを突かれて、そのまま同点ゴールを奪われてしまう。
しかし1分後、「J1相手にどこまでできるか」と意気込みを語っていた泉が、得意のドリブルで輝きを放つ。左サイドからペナルティエリア内にカットインすると、コースを突いた右足シュートを流し込んだ。「最後のシュートブロックの足まで見えていたので、かなり落ちついていたと思います」と自画自賛した代名詞と言える形で再びリードをもたらした泉は、「またイジられるので、もうちょっと練習しないと」と笑顔を見せた“膝スラ”で喜びを表現した。
その後、大宮は相手のギャップに立つ加藤玄が散らすパスに豊川や山本が絡み、左の泉を使って局面を前に進める。右サイドの木寺も思い切りの良さを発揮し、カプリーニとのワンツーでポケットを取るなど攻撃に厚みを加えた。
守備に関してもカルリーニョスを前線に残した9人がコンパクトな陣形を保ち、ライプツィヒキャンプから積み重ねてきた連動した守備で浦和に自由を与えない。何度かハイラインの裏に走り込まれることはあったが、尾崎と西尾の両CBが危なげない対応を見せてピンチには至らなかった。
FKをつないでからの豊川の左足ボレーなど惜しいシーンもありながら、1点リードでハーフタイムとなった。
後半は豊川が最前線に上がり、カルリーニョスに代わって入った中山がインサイドハーフに。すると開始早々、その中山がインターセプトから一気にボールを運び、チャンスを生む。キャンプ中はアンカーで存在感を見せてきた中山だが、ダイナミックに飛び出していく持ち味は一つ前のポジションでも失われていない。
日が暮れても暑さが残り、給水も挟む厳しい状況での試合となったが、大宮の選手たちは高い集中力を見せ続ける。55分までに何度かポケットへの進入を許したものの、ボックス内の守備が緩むことはなく、落ち着いた対応や戻ってのクリアでトムにセーブを強いることはなかった。
60分、右サイドからの低いクロスが中央に走り込んできた浦和の選手に渡りかけるピンチとなったが、ここはトムが積極的な飛び出しでボールをカット。通っていれば確実に1点というシーンだっただけに、的確な状況判断と勇気が重なったすばらしいプレーだった。
66分に尾崎に代わり村上が入り、さらに3人が同時に交代。木寺、豊川、カプリーニに代わり、関口、マギージェラニー蓮、スファナット・ムエアンタ(バンク)が送り込まれた。
残り時間は20分と少し。5人を入れ替えた大宮だが、攻守のクオリティは落ちない。村上が高さと強さを見せつけ、バンクは切れのある動きと技術を披露する。73分には右サイドを駆け上がった関口がファーサイドにボールを送り、泉の折り返しにマギーが合わせる決定機もあった。
終盤、攻勢を強めてきた浦和に対しても、全員が足を止めずに対応する。中山が1対1の守備で相手を抑え込み、村上は身を挺した守備でシュートを打たせなかった。85分のPKではトムが一度はシュートを弾くなど、随所で一歩も引かない激しいバトルが繰り広げられた。最終盤のピンチでもトムが勇敢な飛び出しを見せ、関口が渾身のシュートブロックを披露。アディショナルタイムのカウンターはトムが懸命のセーブでシュートを弾き出し、試合は9年前と同じ2-2で幕を閉じた。
試合後、ナダル監督は「すばらしい相手に対して、良いゲームができたと感じます。われわれの選手たちが最後まで捧げてくれた情熱と規律はすばらしかったと思います」と、開幕へ向けた手応えを口にした。
トムは勝利をつかめなかった悔しさを口にしながらも「長く厳しいプレシーズンを過ごし、チーム全員が開幕に向けて準備ができている状態です。来週ホームで、ファン・サポーターの前でプレーできることを楽しみにしています」とコメント。この日、キャプテンマークを巻いた西尾も「みんなすばらしい準備ができています。まだまだ誰が試合に出るかわからず競争があると思いますが、自分たちのプレーをすれば必ず勝てる自信があるので、良い開幕戦を迎えられるように準備したいと思います」と語った。
1週間後の8月8日、大宮はホームに新潟を迎えて2026/27シーズンの開幕戦を戦う。
(総評:
粕川 哲男)
選手・スタッフコメント
監督 ナルシス ペラッチ ナダル
いい試合だったと思っています。もちろんいいチームを相手にした試合でしたし、やはり両チームの選手が本当に情熱を持ってインテンシティ高く戦っていたように思いました。われわれだけではなくて、彼らにとってもサポーターの皆さんにとってもいい試合だったのではないかと思っています。
われわれとしてフェアに考えれば、この試合は勝っていたゲームではないかなと思っています。 マギー(ジェラニー蓮)の1-3にできるようなチャンスもありましたし、ただ自分たちがそういったチャンスを生かせずに相手に同点弾を浴びてしまって、やはりサッカーというのはそういったチャンスをものにしていかないと、なかなかこういった難しい試合になってしまいます。
自分たちが今シーズンどのような姿になりたいか、どのようなチームになりたいかというものを体現できたと思います。攻撃的に、リスクを取ってゲームの主導権を握れた試合になったと思います。これがわれわれがやりたい攻撃的な姿で、そういった姿をファン・サポーターの皆さんにこれからも見せていきたいと考えています。
大宮のファン・サポーターについては、本当にアップのときから試合中まで、自分も皆さんの応援がとても気に入りました。とても情熱を持って、皆さんが距離感近くサポートしてくださったと考えていますし、スペインという離れた土地から日本に来てそういった形でサポートしていただけることをとてもうれしく感じました。
カテゴリが上のチームと下のチームが対戦するときは、前半に下と言われるチームが優位に進めて、そこから交代が入って下のチームが落ちてきてしまうということはあると思います。ただ、自分たちにとって今日はそうではなかったと思います。交代したあとも、われわれの選手は本当に最後まで戦ってくれました。選手が最後まで捧げてくれたた情熱、そして規律のところはすばらしかったと思います。ゲームでミスを犯してしまいましたが、自分が気にしているのはピッチでどれだけ努力して頑張ってくれたかということです。その頑張る姿勢というものが、われわれのこのコミニュティであったり、クラブ、そしてファン・サポーターの皆さん、自分たちがなっていきたい将来の姿を表現してくれているからです。
DF 88 西尾 隆矢
内容は悪くはなかったのではないかなと思いますが、やはり勝たないといけない試合だったと思います。J1相手に自分たちはここまでやれるという自信にもなりましたが、失点2つは自分たちのミスですし、こういった試合は開幕してからも多々あると思うので、しっかり勝てるようなチームを作っていかないといけないですし、個人的には反省の部分が大きいのかなと思います。
僕たちはすごくハイラインでやっているので、危険なシーンが試合の中で数回出るのは仕方ない中で、本当に最後のところでやらせないというところがCB中心にディフェンスラインの役割なのかなと思うので、あそこをズルズル下げるんじゃなくて、しっかり自信を持って高いラインをキープして、今後もやっていかないといけないのかなと思います。
攻撃のところは、練習からすごく細かく監督からも指示がありますし、細かいディテールが本当に勝敗を分けるということもずっと言われています。練習でフリーなときはできていることが多いのですが、こうして観客も入ってスタジアムの雰囲気もある中で、プレッシャーがある中で、いかに自分たちのプレーを自信を持ってできるかというところが本当に今後大切になってくるのかなと思います。自分たちのやっていることを信じて、思い切ったプレーができれば、どんな格上の相手でも勝てるのではないかなという自信にもなったので、そこはもっと積み上げていかないといけないかなと思います。
今日は勝利を届けられなかったという反省するところが一つあると思うので、開幕して全部勝てるようにという意気込みでやっていかないといけないですし、自分たちはプレシーズンですばらしい準備ができたと思っているので、本当に躍動感のあるサッカーをして、皆さんにも良いサッカーを見せられたらいいなと思います。
来週が開幕ですが、まだまだ誰が出るかわからない中でいろいろな競争があると思うので、そこはチーム全員で底上げしながら、自分たちのプレーができれば必ず勝てる自信があるので、しっかりいい開幕戦を迎えられるように準備したいなと思います。
GK 24 トム グローバー
強い相手、すばらしいサポーターとの試合で、タフなゲームになることはわかっていました。勝てなかったことは悔しいですが、いいプレシーズンマッチだったと思います。
後方からのビルドアップについては、試合の中で時間帯によって変える必要があったと思います。1-2のときは相手が前から来ていたのですが、試合の中でコントロールしなければいけなくて、いろいろな意思決定をしていました。本当は自分たちのやり方でプレーしたかったですが、時間に応じて賢くロングボールを蹴るなどの選択をしなければいけませんでした。
PKについては、キッカーにプレッシャーをかけるために、始めるのをなるべく遅くしようと思って駆け引きをしていました。今日は止めることができたのですが、そのときによってそのボールがタッチラインであったり、相手の目の前にいってしまうことがあって、今日は相手の方にボールが転がってしまいました。
新しい監督が来て、とても長く厳しいハードなプレシーズンを過ごしてきました。チームのみんなが、開幕戦に向けてしっかり準備ができていると思っています。NACK5スタジアム大宮で、われわれのファン・サポーターの皆さんの前でプレーできることを楽しみにしています。
MF 14 泉 柊椰
監督の求めることを少しずつできるようになっていると思っていますし、自分の役割もハッキリしているので、それが今日は分かりやすく出たと思います。開幕に向けてもっとクオリティというのを上げたいなとは思いますし、やっていることも面白いと思っています。すごくポジティブではありますが、今日は勝ち切れなかったことは悔しいです。
疲れていないときなら自分たちの時間にできますが、足をつる選手も多かったですし、自分自身もバテたので、短い時間での強度は出せても長い時間の強度を出せるかというところは、やはりJ1の凄さなのかなと思います。
得点シーンは、内側を開けてくれるようにランニングしているトヨくん(豊川雄太)も(加藤)聖も見えましたし、最後の相手のシュートブロックの足まで見えていたので、かなり落ちついていたかなとは思います。ボールを受けたときには仕掛けようと思っていましたし、ウインガーなので武器は出していかないといけないので、そこは良かった部分ではあります。
ただ今日だったらあの1回だけだったので、あのような形を1試合で何回出せるか、もっともっと剥がして、というのが監督から求められることだと思うので、よりそこのクオリティと回数を上げていきたいです。
開幕してもどんどん熟練度を上げていけると思っていますし、戦術自体もみんなが頭整理できてきて、できることとできないことがハッキリしてきているので、あと1週間で開幕しますが、よりクオリティをチームとして上げていければいいかなと思います。
Facts
Kickoff time | 2026年8月1日, 18時00分 |
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