乗松瑠華 選手&下口稚葉 選手 対談 ~国立競技場・男女同日開催で勝利をつかもう! ~
WEリーグも終盤戦に入り、残すは3試合となりました。そしてこのゴールデンウィークのアルディージャ的最大のイベントとなるのが国立競技場で開催されるジェフユナイテッド市原・千葉との男女同一カードによるダブルヘッダー。アウェイでありますが、国立競技場で行われる初の試みに注目が集まっています。

白星を重ねられず苦しい前半戦を乗り越えたVENTUSは後半戦に入って3勝3敗2分と少しずつチーム状況は上昇してきています。男子は首位を走る千葉との勝点差を縮める大きなチャンス。どちらも負けらない一戦です。

今回はおなじみとなりつつある乗松瑠華 選手と下口稚葉 選手の先輩後輩コンビに、この重要な一戦への意気込みを語ってもらいました。




——前回、お二人にご登場いただいたのは一年前でした。大変好評でしたので、再びこのコンビで語っていただこうとなりました。
乗松瑠華(以下、乗松) 好評だったんですか?光栄です(笑)。

下口稚葉(以下、下口) 前回、瑠華さんの地元と僕の現住所が上尾だってことで盛り上がったじゃないですか。この前、さらに瑠華さんの地元だな~と思わされることがあって。なんとウチの子どもの幼稚園、瑠華さんと一緒だったんです! というのも当時瑠華さんの先生だった人がまだいて、ウチの子どもを見てくれてたんです。だから瑠華さんは、ウチの子どもの先輩でもあるわけ!

乗松 すごくない?二代続けて私の後輩(笑)。そう言えばJFAアカデミー福島時代に幼稚園の先生に手紙書いたことあるなぁ。

下口 それ言ってた! 突然手紙もらったんですよって。アカデミーで受けてたコミュニケーションスキルの講習とかで書いたの?

乗松 全然関係ないよ。卒業アルバム見てたら不意に「あ、先生大好きだったな」って思って手紙書いた(笑)。ちゃんと返事をくれてうれしかったな。

下口 いや、そういう手紙を思い立って書けちゃうのがすごい…。お兄ちゃんも同じ幼稚園だったんでしょ?

乗松 そう。金髪の兄妹だった(笑)。

下口 やんちゃだったと聞きました(笑)。


——世間は狭いですね(笑)。今シーズンはお互いの試合を見には行けてるんですか?
下口 僕はけっこう見てますよ。INAC神戸レオネッサ戦(0●1)も見に行った。向こうのFWにえげつない外国籍ストライカーがいた(笑)。

乗松 あ~、(カルロタ)スアレスね。名前がもう強いよね(笑)。

下口 強い(笑)。あの試合は(濱田)水輝くんと見に行った。僕ね、ちゃんと見てるの。みんながJ1とか見てる中、VENTUSの試合を見てるんだから! 最近はなんといっても齊藤(夕眞)さん! 入ってくれて良かった…。

乗松 めっちゃ見てくれてる! 私も今シーズンはNACK5スタジアム大宮で男子の試合見たよ。この前は(杉本)健勇さんと(オリオラ)サンデーが決めた水戸戦(2○0)を見に行ったんだけど…、チームとかいうよりもただただ稚葉を応援してしまうという、ね(笑)。一回ボール失って長い距離をバーっと走って戻って取り返したときとか「うあ———!!! 」ってものすっごい声出してた。「よしよしよしよし!!! ナイスー! 」ってもうこれ、完全に親目線でしょ(笑)。

下口 なんか…、意外(笑)。

乗松 稚葉、競り強いよね。

下口 今さら気づいた感じ!?

乗松 いや、自分も外国籍選手とか、ガタイのいい選手と対峙するから分かるけど、そんなにサイズがあるわけじゃないのにね。勉強になりますぅ~。

下口 ほんとかな。なんかうっすいんだよな…。

乗松 なんでよ! じゃなんて言うのが正解なの?お手本ください。

下口 僕はすごいですよ、もうイチファンとして柳井(里奈)監督のコメントまで目を通してるから。なんか最近、使う言葉が(長澤)徹さんに似てきた感じがする。中断期間中、男子の練習にも来てたし、そういうので似てくるのかな。

乗松 それはあると思う。

下口 前半戦すごい苦しんでたじゃないですか。新しい選手も入って、それこそ山道(守彦)さんが強化部長になったのもあるし、すっごい変わったよね。

乗松 だいぶ詳しいね(笑)。

下口 僕は男子の中で一番見てる! いや、健勇くんも見てるな。うん、健勇くんと僕が一番見てると思う。

乗松 それこそ意外! うれしいなぁ…。



下口 でも、点取れる人が入ったのは大きいでしょ。

乗松 そこが一番!

下口 失点減った?

乗松 …そこは減ってない。

下口 でもI神戸戦とかも全然ダメって感じじゃなかったけどね。水輝くんとも「これ、勝てんじゃね?」とか言いながら盛り上がってた。

乗松 それで勝てないっていうのがずっと続いちゃったんだよね。

下口 でも後半戦は変わってきてるって自分たちでもあるんでしょ?それは何なんですか?

乗松 やっぱりうーさん(齊藤夕眞)、(西尾)葉音の攻撃陣の加入は大きくて、前半うまくいってなくても後半チャンスあるだろうなっていう根拠のない自信がある。だから守備でも粘れる。

下口 僕たちも今、確実にそれです。

乗松 でも男子は先制点取ったら、確実に勝てるって感じするけどなぁ。

下口 そういうイメージ?でも僕らも前半耐えて、後半に出てくる選手が決めてくれる感じです。こういうチームは強くなれると思う。




——お互いのチームを見ていて、それぞれの魅力について聞かせてください。
下口 VENTUSの魅力って一致団結感だと思う。NACKで見てるから余計そう感じるのかもしれないけど、試合前にベンチ前でハイタッチして出ていくでしょ?なんか青春! って感じがしてすごく良い! 前半戦つらかった分…、ね。

乗松 稚葉も親目線になってない(笑)?

下口 NACKだと聞こえるんですよね、ベンチからの声かけとか。そういうの含めて団結感がいいんですよ。女子ってバス降りてくるときみんな同じシューズ履いてません?あれは?どうしてああなったんですか?

乗松 だから、なんで知ってるの(笑)。あれはチームから支給してもらってるの。

下口 僕はインスタも見てますから(笑)。ああいうのも男子じゃ見ない光景ですよね。

乗松 男子は圧倒的にフィジカルの強さがあるから、展開が早いのは当然なんだけど、注目してほしいのはセカンド! こぼれたとき、どっちがマイボールにするかの一瞬、あれすごく大事じゃないですか。そこの入れ違いの際にチャンスも生まれる。今シーズン男子のセカンド周り、めちゃくちゃ面白い! そこがうまくいかないと流れもすごく悪くなるから。

下口 そうなんですよ。あとちょっと言いたいことあって…、ハイライト見てると瑠華さんがよく出てくるんです。ボールカットして誰かがドリブルで走ってる横を走ってる瑠華さん。「ボールくれ! 」「来たら打つのに」みたいな顔して。ボールは来てなくても、そこが瑠華さんのストロングなので…。あれ、すごく良いと思います。

乗松 なんか、ありがとう(笑)。自分が出ていくときはリスク背負って出てる以上、やり切りたいっていうのがあるからそれが顔に出てるのかな。最近前やりたいなって思うようになっちゃってる(笑)。稚葉の良いところも、攻撃参加でしょ。走ってるな、叫んでるな、熱いなって思って見てる。スタジアムだと引きで見れるから稚葉がめっちゃ走ってるの分かるんだよ。

下口 でも、走るだけじゃなくて、そろそろ欲しいです、ゴール。

乗松 お互いね。


——6日は男女ともにジェフユナイテッド市原・千葉を相手にします。せっかくですので、この試合の互いのポイントを挙げてもらえますか?
下口 齊藤さんの一発! と、ボランチの小うまい感じの…。

乗松 小うまいて(笑)、もえさん(阪口萌乃)だね。なでしこジャパンにも選ばれた経験を持つ人です。

下口 彼女はうまいですよね。コントロールできるから。あとはやっぱり、乗松瑠華のインターセプトからの攻撃参加じゃないですか?



乗松 きれいにまとめてくれてありがとう! 男子はやっぱり相手が首位だから…。でも左サイドの泉(柊椰)くんってドンドン仕掛けていって、抜けきらなくてもガチャガチャってなってなんか起きそうな感じがするじゃないですか。そこのこぼれ球が面白いというか…、そこが静かだと試合は動かないから、左が行き切ったら良い試合になりそう! その大外を稚葉がガーっと行って…。

下口 そうなんですよね。

乗松 あ、聞きたかったの! こないだの札幌戦(1○0)のスーパー(藤井一志)のボレーのときのアシストって、稚葉はスーパーがあそこにいるって分かってて出したの?

下口 いいや、違います。

乗松 ちょっと…、そんなこと言ってギリで見えてたんでしょ?

下口 いや、見えてないです。

乗松 …そこは見えときなよ、完璧なアシストだったんだから(笑)。

下口 まあニアに引っ掛けるのだけはイヤだったから、そこは超えとこうっていうのはありましたね。

乗松 難しいボールだったから、すごいなって思った。あと最近の“推し”がやっちーで…。

下口 やっちー…、ひょっとして谷内田(哲平)!?



乗松 そう! (仲田)歩夢と勝手に“やっちー”と呼んでる(笑)。当たり前のことをすごく丁寧にプレーするし、守備のときもここ! っていうところにいてくれるし、好きなプレースタイル!

下口 推しとしてやっちー(笑)にいくのは、もう…10試合は見てるね、これ。ちなみにやっちーは隠れグルメで、彼は上尾のいい店も知ってます。

乗松 そうなんだ。やっちーは…、難しいバウンドのボールをダイレクトでバシっと出したり、今の失ってたら危なかったよねっていうのを処理してくれたり、そういう時に不意に凄さを感じる。

下口 うん、それがやっちーだね。

乗松 千葉戦ではやっちーのそういう安定感にも注目してほしいです!


——国立決戦の見どころとして、お二人から見る千葉とはどんなチームですか?
下口 僕、女子も語っていいですか?GKに昨シーズンまでVENTUSにいた望月(ありさ)選手いるでしょ?そこの対決は見ものですよ。

乗松 ちょっとほんと詳しい…。こっちが話すことなくなるからもうその辺で。

下口 詳しいんです(笑)。男子で言うと、相手は首位だし、勝点とかも突き抜けてる。僕らは立ち位置的にも技術的にもすべてにおいてチャレンジャーなので、思い切って襲いかかるのみ。失うものはないので、強敵ではありますけど背負い過ぎずに臨みたい。自分たちの武器というのは必ず通用すると思うので、真っ向勝負したいと思っています!

乗松 女子はハードワークしてくるし、サイズのある選手が多いからセットプレーも脅威。でもまた今シーズンは人も変わって、そこに対しての試合中の修正力が必要になってくると思います。女子は先にやるので、自分たちが勝って良い流れを男子につなぎたい。このエンブレムをつけて戦う国立は最初で最後。WEリーグだけで見ると4年ですけど、FC十文字VENTUSという母体で見ると本当に多くの方がかかわっていただいたと思うので、その感謝も込めてプレーしたいです。苦しい前半戦でしたけど、良い形も増えてきてるし、今シーズン終了時にはできるだけ高い順位で終わりたいし…。そしてあの…、点も取りたいなって思います。



下口 すごい付け加えたな~、最後(笑)。でも取ろう!

乗松 国立では男女そろって勝ちましょう!


6日のダブルヘッダーは、女子は12:00、男子は16:00にキックオフを迎えます。男女ともに落とせない大一番に、熱い声援を送ってください!




早草 紀子(はやくさ のりこ)
兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿する。女子サッカー報道の先駆者であり、2005年から大宮アルディージャのオフィシャルカメラマンを務める。

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