明治安田J2リーグ 第29節
2025.9.13 [SAT] 19:00 NACK

大宮

  • 30' 豊川 雄太
1 - 2
1 前半 2
0 後半 0

長崎

  • 19' 山口 蛍
  • 45+3' エジガル ジュニオ
試合経過
高木監督が率いる強敵との大一番。あの“3-3”を経て、ここで決着を
今季15回目となるホームゲームに迎える長崎は、現在5位の大宮よりも勝点が4つ多く、3位につける。打ち合いの末に3-3の痛み分けに終わった第19節の記憶も新しい強敵だ。

長崎は、前回対戦のときよりも攻守がレベルアップしている印象がある。大宮相手に得点を決めた安部大晴と増山朝陽は、それぞれFCルツェルン(スイス)と町田へ、FKからフアンマ・デルガドの同点ゴールをアシストしたマルコス・ギリェルメはFC東京、そのFKを獲得した松澤海斗もシント=トロイデン(ベルギー)へ移籍したものの、夏の移籍期間中に翁長聖とディエゴ・ピトゥカを補強。さらに今月9日には、ブラジル人ストライカーのガブリエル・チグロンも迎え入れている。

そしてなによりも、高木琢也監督の就任が大きい。下平隆宏監督の解任で、大宮戦の翌日からチームを率いることになった経験豊富な智将は、リーグ最多の46ゴールを叩き出している攻撃力をキープしながら、課題だった守備力を改善している。19試合を終えた時点では1試合平均1.68失点だったが、高木監督就任以降は0.66失点にまで減っている。

2019年から2シーズン、大宮を指揮した高木監督にとって、今回は古巣対決となる。当時を知る数少ないプレーヤーである笠原昂史、小島幹敏などは、特徴を知られているやりにくさと高いモチベーションの両方を持ってピッチに立つはずだ。

15得点で得点ランキング首位のマテウス・ジェズス、短い時間でも見せ場を作るエメルソン、攻守のキーマン・山口蛍、低くて速いロングスローで決定機を生む翁長など、警戒すべき選手は多い。交代選手を含めたチームの総合力とホームの利を生かして、10戦負けなしと好調の長崎を食い止めたい。

(文:粕川 哲男)

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監督コメント
先週は試合がありませんでしたが、「自分たちのやるべきことを見直す」ということをやってきました。前節はチャンスがありながらも勝利することができませんでしたが、言い続けているように得点は水物なので、最低限、流れが反転したときに渡さないことが一番大事なので、そのあたりはまだやれることがあるというところをしっかり確認しました。

長崎は前期とは別のチームなので、前期はまったく参考にせず、今の時点では一番強いチームですが、ホームでやるのでしっかりとダメージを与えられるように準備していきたいと思います。このリーグの中では、夏のマーケットで一番変化をかけたのはたぶん長崎で、クラブとしても本気度を感じますし、それに向けた準備をしっかりすることが大事だと思っています。

高木監督は本質のところを押さえて完全に勝負に持っていったと思うので、非常にソリッドで堅いことがベースであることは結果として表れていますし、いかにダメージを与えるかということが一番のポイントになると思うので、そこはしっかり準備しなければいけないと思っています。

残り10試合でどの位置に立っているかというのはすごく大事で、いろいろな状況があると思うのですが、もちろん残留争いもありますし、中位争いで上が見えなくなってしまう状態もあるでしょうし、そういう中でよく今の位置にたどり着いたなと思います。自力で上を狙えるポジションをまずは押さえたかったので、チームとしてはここまでは非常にしっかりやってくれていると思っています。

ここからは全試合が決勝戦のイメージです。昨シーズンとは少しゲームの形式が違っていて、昨シーズンは全試合が天皇杯をやっているような感じですごく難しいゲームでした。今年は普通に、次の試合もチャンスもピンチも同等に来るゲームになるということはもうわかっているので、そういったゲームの中で結局自分たちの力を瞬間的でも出したほうが勝ちなので、両チームとも90分間ゲームを制圧しようとは思っていないですし、瞬間、瞬間でアイデアがシンクロするような場面が出るかどうかというのがお互いが狙っているところで、ウチは数的有利を取るしかないのでその瞬間を狙いたいと思っています。自分たちのやっていることで上回っていければと思います。
選手コメント
札幌戦は悪いところばかりではなかったと思いますし、前半はいい場面を何度も作れたと思うので、いいところはしっかり継続しつつ、最後のところであったりとか、今までやってきたことの確認ではないですが、より精度を高めるとか、守備はよりやらせないとか、そういったところにこだわってここまでの期間でやって来れていると思います。やはり全員が同じ方向を向いてやれるのが自分たちの強みだと思いますし、そこはしっかりやれていると思います。

残り10試合になりましたが、自分たちでどんな状況にも持っていけるような順位にいると思いますし、上位チームとの対戦も残っているので、自分たちで勝ちを手繰り寄せて上に登っていければと思います。

次節の長崎戦は、本当に自分たちにとって大事な試合なので、必ず勝てるようにいい準備をしたいと思います。相手に個人能力でゴールを奪えるようなタレントが揃っているのは間違いないですし、自分たちは数的有利で守って数的有利で攻めて、より自分たちが優位な状況を各局面で走力を生かして作っていければ、必ず勝利につながってくると思います。

長崎は古巣ですが、僕自身が力を入れすぎると経験上いいことがないので、もちろん特別な相手の一つではありますが、個人としてはいつもどおりに試合に臨めればと思っています。
シーズン終盤に入って順位も混戦で落とせない試合が続きますが、ここから上位のチームと当たるので自力での昇格の可能性はまだ全然残っていると思っていますし、全員がそれを認識しているので、上位をしっかり叩くためのいい準備ができていると思います。監督からもミーティングで何度もそういった確認をしていますし、言わなくてもみんな意識していると思うので、本当にいい準備ができていると思います。

長崎とは今年一度対戦していて、相手の力もわかっていますが、まずは自分たちが100%の力を出すための準備をしていきたいと思います。選手の入れ替わりはありますが、やっていることは大きくは変わっていないのかなと思いますし、個人個人のパワーはすごいですが、サッカーはチームスポーツなので、チーム力で上回っていければと思います。相手どうこうよりも、まずは自分たちがやれることをしっかりやることが大事だと思っています。

残り10試合で上位対決も多くありますが、特別なことは考えていないですし、1試合1試合を全力でやることだけだと思っています。自分たちは失うものはないですし、今は一つでも上の順位にいくためにいい準備をしていて、最終的に優勝できればいいと思います。
メンバー

スターティングメンバー

75'
75'
81'
63'

控えメンバー

75'
75'
63'
81'

監督

長澤 徹

スターティングメンバー

GK 21 後藤 雅明
DF 3 関口 正大
84'
DF 29 新井 一耀
DF 44 江川 湧清
DF 48 照山 颯人
86'
MF 5 山口 蛍
78'
MF 8 ディエゴ ピトゥカ
MF 10 マテウス ジェズス
MF 19 澤田 崇
46*'
MF 50 翁長 聖
FW 11 エジガル ジュニオ
46*'

控えメンバー

GK 31 原田 岳
DF 23 米田 隼也
84'
DF 25 櫛引 一紀
86'
DF 41 田所 莉旺
MF 13 加藤 大
MF 16 エメルソン
46*'
MF 33 笠柳 翼
MF 34 松本 天夢
78'
FW 18 山﨑 凌吾
46*'

監督

高木 琢也
試合詳細
16 シュート 9
11 GK 12
13 CK 3
8 直接FK 17
0 間接FK 2
0 PK 0
試合データ

主審

上村 篤史

副審

村井 良輔

副審

川勝 彬史

第4の審判員

塚田 智宏

入場者数

12,368人

天候

雨、弱風

ピッチ状態

全面良芝

気温/湿度

26.4℃/89%

HIGHLIGHT

豊川の得点で一度は追いついたが、上位対決で惜敗
明治安田J2第29節は、長崎を相手に迎えるホームゲーム。6月のアウェイゲームでは、試合終了間際の失点で引き分けとなった。順位では、2つ上の3位に位置する相手。ホームでは勝ち星を飾り、勝点を近づけたい。前節まで先発出場を続けていたイヨハは負傷で戦線を離脱。最終ラインでは、村上が6月の第17節以来となる先発出場を果たした。

試合が始まると、久々の先発出場を果たした村上が、積極的に縦パスを通した。右は茂木が高い位置に張り出し、カプリーニとともに相手をけん制。開始40秒、村上が中央にパスを送り、豊川がミドルシュート。2分にも村上の縦パスから左サイドの攻撃へつなげた。

11分、カプリーニのクロスを豊川がヘディングで合わせるなど、早々にリズムをつかんだ。13分には、判定を巡る混乱に乗じて、ゴールキックをすばやくリスタート。前に出たGKの頭上を狙ったカプリーニが狙う場面もあった。球際の争いで相手に誘われるような形でファウルになることも多く、何度もボールが止まる展開。リスタート時の集中力が問われた。

19分、FKから攻撃を仕掛けたが、跳ね返されて相手のカウンター。浮き球の処理に手間取り、ボールを奪われた。追いかけたカプリーニのスライディングはかわされ、クロスからボレーシュートで先制点を奪われた。ゴールを奪った相手の勢いは強く、21分にもロングパス1本で相手FWに抜け出され、GK笠原がかわされたが、下口がゴールをカバー。29分にもFKで揺さぶられ、クロスの折り返しを狙われるなどピンチが続いた。

しかし、30分、相手選手が倒れて少し時間を置いて再開した左CKで、ショートコーナーからカプリーニのクロスを豊川がヘディング。同点ゴールを奪った。このまま1-1で折り返すかと思われたが、前半のラストプレーで相手のFKからヘディングシュートを決められたのが痛かった。リスタート時、また直後の攻守の切り替えから得点が生まれる試合となった。

1-2で迎えた後半も、縦パス、ポストプレー、押し上げで分厚い攻撃を仕掛けた。特に後半のCKは相手2本に対して9本と多かった。60分、カプリーニが蹴った右CKをファビアン・ゴンザレスが頭で合わせた場面は惜しくもゴールの枠をとらえず。

63分、オリオラ・サンデー、杉本を同時に投入。すぐに、相手の背後へ走るオリオラを狙うパスが増えた。オリオラは「あまり良い形でパスを受けられなかった。でも、とにかく走って、ほかの選手がフリーになればと思っていた」と精力的にスプリントを連発。

2点目を奪うのに苦労する中、70分手前の飲水タイムが明けると、ゴール裏からはチームを鼓舞する大きな拍手と大宮コールが響いた。75分、小島の浮き球の縦パスから杉本がクロスを送り、泉がシュート。76分に谷内田と関口、81分に藤井を投入して攻撃の加速を図った。

終盤は、何度も敵陣に押し込んだが、最後の詰めが合わない。ラストチャンスは、終了間際。関口が右からクロスを上げ、村上が空中戦で競り勝ち、ゴール前でこぼれ球となったが、押し込めず。村上は、序盤のプレーに手ごたえは得ていたものの「負けた試合で良いプレーだったと言いたくない。結果がすべて。めちゃくちゃ悔しい。今日、自分がもっとできたとしたら、あそこでネットを揺らすこと結果に表したかった」と悔しがった。試合は、1-2の敗戦で2連敗となった。

次節もホームゲーム。上位をうかがう位置にいる今治と対戦する。ここまで出場時間の多い市原はU-20ワールドカップ参加のため、不在となる。「(仲間には)あとは頼みましたと話した。帰ってきたときに、自分がどの立ち位置にいるか。あっちでしっかりやって、仲間を信じて戦ってきたい」と後を仲間に託した。今後は、終盤の総力戦。上位争いに踏みとどまれるか重要な局面を迎える。

(総評:粕川 哲男)

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監督コメント
ゲームの総括の前に、今日は名倉選手がスタジアムに来ていましたが、敵味方関係なくサポーターの皆さんも含めてみんなが回復を祈っています。われわれも一日も早い回復を祈っております。

今日は12,000人以上のサポーターに入っていただいたのですが、笑顔で帰ってもらうことができず、非常に申し訳なく思っています。

ゲームのほうは、総括すると2失点目が痛かったかなと思います。全体のゲームの内容から見たら、唯一緩くなったかなと。いろいろな面でディテールも含めて、ファウルを与えるプレーから始まって、少し緩かったかなと思います。ここから先の勝負を勝ち切っていくためには、そこの部分をしっかりとディティールを持ちながらフレッシュにプレーするという、まずはマインドの部分をしっかり設定しなければいけないですし、やはり相手に恐れが少しでも入ってしまうと飛び込んだりとかあのようなプレーに発展していくというのは間違いないので、そういう意味では力負けで、マテウス選手のところで飛び込んでしまった、飛び込ませてしまったチームも含めて反省なのですが、まだこれが最終戦ではないので、ここからの9試合にどうやって生かすかポイントだと思っています。

全体的には決して悲観することではないですが、こういった大事な試合はディティールが勝負になってくるので、そういう意味では1失点目もしかり、しっかりダメージを与えられたわりにはこちらが与えられなかったという、そういうゲームだと思います。
選手コメント
負けた試合でプレーが良かったと言うのはあまり好きではないのですが、試合の入りやプレーに関しては個人的には悲観するような内容ではないと思っています。ただやはりこの世界は結果がすべてなので、勝てなかったことが自分の中ではすべてですし、とても悔しいです。

失点シーンは、1点目は自分たちが守備をしているときに狙っているような形をそのままやられてしまったという感じでした。2点目も、最初の5分と最後の5分を締めようという話をあれだけしていた中で、前半終了間際の最後の5分でやられてしまって、声掛けとかまだまだできることがあったんじゃないかなと思います。

今日は縦パスに関しては、自分の中ではすごく手ごたえがありました。ただ本質は結果なので、縦パスが良かったからとかではなく、本質の部分は自分の中ではズレないように、まずはチームを勝たせられる選手になるというところを見失わずに、縦パスや守備の部分を詰めていけたらなと思います。

自分が今日もっとできたことを挙げるなら、終盤のセットプレーで自分がネットを揺らすことだったと思います。点を取りたいと思って練習からクリアとシュートを両方取り組んでいるので、そこを結果で表したかったですし、本当に悔しい気持ちです。

自分がもう一個上のレベルにいくためには、リーダーシップのところは絶対的に今の自分に足りていないと思いますし、個人のプレーだけではなくて、全体を統率するところは本当に試される場面だと思います。自分が中心となって、このチームを引っ張っていくという覚悟を示せたらと思っています。
前半の戦いは悪くなかったと思いますし、シュート数もウチのほうが多かったと思うので、あとは本当に決めにいくところだと思います。(長澤)徹さんも言っていましたが、力負けしたところはあると思います。

1失点目はああいう形で一発でやられてしまうのは、上に行くためにはまだまだ何かが足りないような気がします。2失点目に関しては、僕がファウルをしてしまったので僕の責任です。僕を含め、やられないようにもう一度トレーニングするしかないので、しっかりやっていきたいと思います。

今日は久しぶりの3バックでしたけど、クロス一辺倒になってしまって攻撃が少し単調になってしまったという印象があったので、そこを今後どうやっていくかだと思いますし、4バックでも3バックでも厚みのところを意識してやっていきたいと思います。ただシステムがどうこうというよりかは、ピッチに立った僕らが感じて、もっと攻撃に厚みを出してやらないといけないなと思いますし、自分自身もっと何かできたんじゃないかなと思っています。

ただ個人的には1点取れたことでやっと長いトンネルを抜けたと思いますし、残り9試合、チームのために点を取って、今まで取れなかった分を取り返したいと思います。今日は2、3点いけるかなという感覚が自分の中であったので、1点では物足りないですが、一歩前進したととらえて、あと9試合やっていくしかないと思います。
チームとして今日の6ポイントゲームは絶対に勝ち切ると思っていましたし、勝利しか狙っていなかったゲームだったので、1-2という結果になってしまってすごく悔しいです。

個人的には久しぶりの出場だったので、得点だったりアシストだったり、そういう結果が欲しかったですし、「自分が出たときに流れを変えてやろう」という思いで途中交代で入りましたが、それが結果に結びつかなかったので非常に悔いが残る試合でした。

攻撃の部分は練習や練習試合でもずっとやってきたので、今日はそこが多少できたのは良かったですし、これからも続けていきたいですが、やはり最後の質の部分がまだまだなので、そこはもっとこだわる必要がありますし、もっと大胆にやってもいいのかなと思います。

自分の足りないところは分かっていましたし、試合に出れていなくても腐ることはまったくなかったです。自分に足りないところはどこかということをもう一回見つめ直して、自分の長所を磨いて、試合は残り少ないですけど、どれだけ自分がチームに良い影響をもたらせられるかがすごく大事だと思うので、もっとクオリティを上げてやっていきたいです。

目標のJ1に行くためには勝利を積み重ねないといけないと思うので、残り9試合すべて勝つことがその先にもつながると思いますし、一戦一戦しっかりとやっていきたいと思います。今日もすばらしい応援があったにもかかわらず、勝ち切れなかったことがすごく悔しいので、次は必ず勝点3を取ってサポーターの皆さんと喜びを分かちあいたいと思います。
フォトギャラリー

(写真:早草 紀子)

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