今回は、5月10日(日)に行われた「Wings for Life World Run 2026」の大宮会場での様子を、クラブオフィシャルライターの粕川哲男さんがレポート。たくさんの笑顔が集い、たくさんの汗が流れた1日の情景をお届けします。
快晴の下、大宮第三公園に集ったランナー
5月10日(日)、世界最大規模のチャリティーランイベント「Wings for Life World Run」(通称ワーラン)の2026年大会が、世界で同時に開催。RB大宮アルディージャのホームタウンであるさいたま市は、昨年に続いて今年も参加者が集まって走る「アプリラン」の開催地となりました。
「走れない人のために走る」をスローガンとするワーランは、参加費の100%が脊髄損傷の治療研究に寄付されます。今年のイベントには、世界の192カ国から34万6,527人のランナーが参加して、総額920万ユーロ(約17億円)の寄付が集まりました。
天候に恵まれた当日、さまざまな形でこのチャリティーイベントを支えているRB大宮アルディージャからは、トム・グローバー選手と若林学歩選手が、RB大宮アルディージャWOMENからは久保真理子選手と杉澤海星選手の計5名が参加しました。さらに2021年のJリーグ合同トライアウトで負った中心性脊髄損傷の大ケガを乗り越えてプレーする、相澤ピーターコアミ選手(栃木シティ)も駆けつけてイベントを盛り上げました。

会場となった大宮第三公園には、午後4時ごろからスライダー、キックターゲット、サブサッカーなど子どもたちが楽しめるアトラクションが用意されて、RB CLUB SHOPも出店。ブルルと一緒に楽しく走れる「ブルルフレンズラン」も実施されました。

午後8時スタートのイベント前にはトークショーも行なわれて、Q&Aのコーナーでは「緊張したときの対処法は?」という質問に対し、若林選手が「そもそも緊張しない」と笑いを誘い、杉澤選手が「緊張も楽しみましょう!」と、その場を和ませました。
また、小さいお子さんの「サッカーがうまくなりたい」とのお願いには、トム選手と久保選手が「楽しむことが大事」とアドバイス。トム選手が「いつかGKになってほしい」とGKグローブをプレゼントすると大きな拍手が沸き起こりました。
走り切って――。それぞれの所感と使命
スタート直前には、志村滉選手がサプライズ登場。仲間を励ましただけでなく、陽気なかけ声を発しながらスターターの大役を務めました。
若林選手は1周1500mを走ったあとに給水係に専念。「だいぶ楽しかったです。給水をやるのは初めてで、渡しやすい手の向きなど勉強になりました。DJ SHINGOさんの選曲も最高で、レッドブルのイベントの盛り上げ方は僕に合ってます」と笑顔を見せていました。
軽快に走り出したトム選手は1周目を2位で戻ってくると、その後もスピードを落とすことなく、時にはファンの声援に応えながら14km以上を走りました。走り終えてからもハイタッチでランナーを鼓舞し、写真撮影に応え、気軽にサインを書くなど、参加者に多くの笑顔をもたらしていました。

イベント前に「サッカー以外の面で自分に何ができるのか。その役割について考えて、参加を決めました。このような機会をいただけたことを光栄に感じますし、しっかり走ることで、少しでも皆さんの助けになれたらと思います。参加費と同じ額が脊髄損傷の治療研究に充てられる意義深いイベントなので、ワーラン自体を多くの人に知ってもらって、この先もより参加者が増えてくれることを願っています」と語っていたトム選手は、走り終えた直後に「参加者の皆さんが楽しんで走っている姿に刺激を受けて、頑張りました。特に車椅子で参加していた女性の方がモチベーションになりました。彼女のために、このイベントのために、みんなのために走りました」とコメントを残し、練習後のような汗を流しながら充実した表情を浮かべていました。
久保&杉澤の両選手は安定した走りで周回を重ね、最終的にアプリ上の「キャッチャーカー」(スタート30分後にバーチャルキャッチャーカーが走り始め、それに追いつかれるとレース終了)に捕まるまで、16km以上を走り抜きました。
「すごく疲れましたけど、みんなと一緒に走ることができたので、アッと言う間でした。私は去年も参加させていただきましたが、去年に比べて参加者がすごく増えていることをうれしく思います。皆さんのチャリティーに対する意識の高さを感じました。楽しく走れたうえに人の役に立てるというイベントなので、本当に最高でした」(久保選手)
「めちゃくちゃ楽しかったです。自分の好きなことで誰かのためになれるということは、すごく幸せなことだと思いました。今回は走るという形でチャリティーができましたけど、自分たちはサッカーをすることでも誰かのためになっていると思うので、好きなことを仕事にできているありがたみを感じましたし、もっともっとプロ意識を持って頑張らなきゃと気づかされました」(杉澤選手)
大盛況のうちに幕を下ろした13回目のワーラン。世界王者となったのは福岡県出身のプロランナー、福田穣さんでした。ワーランで4度目となる栄冠で、昨年自身が記録した71.67kmの世界記録を更新する78.95kmを走り、2位に10km以上の差をつけての圧勝となりました。
なお来年のワーラン参加登録は、2026年11月4日・日本時間午後8時から開始となる予定です。


粕川哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。

