今野浩喜の「タダのファン目線記」アライヘルメット訪問 後編

今野さんが「ただのファン目線」で行きたい場所に足を運び、会いたい人に会い、書きたいことを綴る本連載。今回は、NACK5スタジアム大宮の近くに本社を構える株式会社アライヘルメットさんを訪問。後編では、広報部の上幸一さんに、会社の歴史やご自身のバイク・ヘルメットへのこだわりについて根掘り葉掘り聞きました。


アライヘルメットさんの歴史に驚嘆

今野「せっかくなので、レッドブルのロゴが入っているヘルメットを(テーブルに)置いてしゃべりましょうよ」

「じゃあ、これでいいですかね」

今野「余談ですが、動画などに映っているアルディージャの選手たちも、レッドブルを飲むタイミングがどんどんうまくなってきているような気がします」

「アハハハ。慣れてきたということですね」

今野「いろいろとホームページとか読ませてもらったんですけど、アライさんは『日本人の頭の形に合わせて作っている』という認識で合っていますかね?」

「そうですね。日本で初めて乗車用ヘルメットの製造をはじめたのが弊社なので。今の社長の父親である先代社長が、1937年、この大宮の地に工場を竣工しました。まだ戦争が起きていた時代です」

今野「ものすごい前だ……」

「もともと、東京の京橋で始めた『新井帽子店』という帽子の店が始まりだったんです。最初は、戦争を戦う兵隊の頭を守るための帽子を作っていました。防暑用ヘルメットや戦車帽といったものです」

今野「なるほど、戦車帽」

「戦車の中って、暑いですし、狭いじゃないですか。頭をガッツンガッツン打つこともあったので、兵隊たちの頭を守るヘッドギアを作ってくれということで製作しはじめたのが、戦車帽というものです」

今野「へぇ~~~。ヘルメット製造業は大宮で始めたということですか?」

「はい、そうですね。戦争が終わったあとは、工事現場で働く方々の頭を守るための保安帽を作りはじめました」

今野「なるほど」

「先代の社長は、そのころからオートバイや機械いじりが好きでして。川口オートレース場ってあるじゃないですか。当時は、そこで走っていた選手もヘルメットではなく簡単な帽子を被っていただけで、年に何名か、頭部を損傷して亡くなられる方がいました。そこで、『バイク用のヘルメットを作ってほしい』との相談を受けて、先代の社長が作りはじめたんです。その川口のオートレーサーに供給しはじめたオートバイ用のヘルメットが、日本で最初の乗車用ヘルメットと言われています」

今野「すごい歴史だ」

「そこで、現代にも通じるような基本的なヘルメットの形ができました。要は、近代ヘルメットの基礎を作り上げたのが先代の社長というわけです」

今野「それまで、バイクに乗るときにヘルメットを被るという文化はなかったんですか?」

「世界的にはあったみたいですが、日本にはまだなかったんです」

今野「はあ~~~。すごい方だ」

避けて通れない“暑さ問題”

今野「上さんは普段、バイクに乗られてるんですか?」

「乗ってますよ」

今野「どの車種に?」

「『トライアンフ』というイギリスのバイクです」

今野「会社に乗ってきているんですか?」

「いえいえ、通勤は基本的にスクーターです。週末、どこかに遊びにいくときはバイクに乗っていますね」

今野「ヘルメットはフルフェイスですか?」

「フルフェイスのときもあれば、昨今の異常な暑さを鑑みて、オープンフェイスのものを被るときもあります。今はそうやって使い分けている人が多いかもしれないですね」

今野「……夏場のヘルメット被るときって、みんなどうやってやり過ごしてるんですかね」

「アハハハ。もう、走り続けるしかないですよね」

今野「信号待ちが地獄なんですよね。顔だけが汗でビショビショになる。みんなどうしてるんだろうといつも思っていて……」

「いやほんと、どうしようもないです」

今野「しかも最近だと、朝20℃、昼30℃とかで、『家出るときどんな格好すればいいんだよ』と思いますよ」

「寒さはしのげるんですけど、暑さはどうしようもないですからね」

今野「よく言われるじゃないですか、『安全とはなにか論』みたいな。ヘルメットをガッチガチに被った挙げ句、熱中症になってしまったら、それはそれで元も子もないと言いますか」

「はい」

今野「だからといって、涼しい格好をすると危ない。日本の夏の暑さを踏まえると、そうした議論はやっぱり出るんですかね?」

「そうですね。だからこそ、今は安全かつ快適に着用できるヘルメットを作るように心がけています。たとえば内装の生地も、なるべく不快感がないようにサラッとしたものにするとか」

今野「ライダーのみなさんって、ヘルメットを被るときに日焼け止めとか塗ってるんですかね?」

「基本的にヘルメットのシールドにはUV加工が施されているんですけど、有害なUVをカットするだけなので、日焼けにつながるUVはカットされないんですよね」

今野「はあ~~~」

「なので、日焼けを気にされる場合は、塗られたほうがいいかなと思います」

今野「なるほど。俺、日焼けがイヤなのもあってフルフェイスを被っているんですよね」

止まらない「教習所あるある」

今野「乗るとき、プロテクターとかつけていますか?」

「つけていますよ。長年乗っていると、数回コケていますし、そのときの痛さも知っているので」

今野「どんな距離でもですか?」

「そうですね。通勤時でも、少なくとも長袖はマストです」

今野「ズボンも、やっぱり長ズボンのほうがいいですよね。バイクに乗るまで知らなかったんですけど、太ももの前面に日光が直撃するんですよ」

「分かります」

今野「こういうことって、教習所で教えてくれないんですかね?」

「アハハハ。たしかに」

今野「あと、バイクの免許の恐ろしいところは、路上教習がないところ。だから、買いにいった帰りにいきなり本番が始まるんですよね。しかも、バイク売ってる店ってだいたいデカい通りにあるし……」

「それはあるあるですね」

今野「あと、この前初めてバイクで高速道路を走ったんですけど、一般道路よりもずっと同じ体勢になるので腕がめちゃくちゃ痺れて」

「そうですね」

今野「あれもまず教習所で教えてほしいですよね。こんなに痺れるなんて聞いてないんだけど」

「はいはい(笑)」

今野「あとこれもずっと思ってたんですけど、中型バイクって最大で400ccまでじゃないですか。なのに、なんで教習所では400ccで練習させるんですかね」

「あ~~、たしかに」

今野「車の免許取るのに、ハイエースで練習させられるみたいなもんじゃないですか。なんで乗れる範囲のやつのマックスで練習するんだよって」

「言われてみればそうですね」

今野さんが今欲しいヘルメット

今野「そういえば、ちょうど今使っている他社さんのヘルメットを買った直後に、アライさんのヘルメットですごくカッコいいやつを見つけまして……。OAKLEY(オークリー)のやつの……」

「(カタログを取り出して)これですね。『マーベリック・ビニャーレス』という選手のモデルです」

今野「そうそう、これ。マーベリックさんという方なんですか?」

「はい。マーベリック・ビニャーレスさんというスペイン出身のライダーさんのモデルです」

今野「これ、今、俺が乗っているバイクに合うと思いませんか?おんなじ色ですし」

「たしかに。すごく合いますね」

今野「気づくのが遅かったなあ~~。これが良かったなあ~~」

「アハハハ。そう言っていただけるとうれしいです」

今野「今使っているものは結構派手なんですけど、ヘルメットのカッコよさだけを見て買ってしまって。でもよく考えると、派手なヘルメットだと服を合わせるのが難しいんですよ。服のほうがどんどん地味になっちゃう」

「まあでも、ヘルメットはやっぱり目立つほうがいいですよ。車に乗っている人からも気づかれやすいので」

今野「ああ、たしかに」

「だから、ヘルメットっていろいろな色がありますけど、単色だと白が一番売れるんですよ。周りから見たときに分かりやすいので」

今野「はあ~~なるほど。でもたしかに、このオークリーのヘルメットだと森の中で紛れちゃいますね」

「そうかもしれないですね(笑)」

“排気量マウント”とは

今野「俺、実は、バイクをもう一台持っていたんですけど……」

「おお!すごいですね」

今野「バンバン200(スズキ)を持っていたんですけど、ガソリンのメーターのところとかもうなんにもなさ過ぎて、怖過ぎて売ってしまったんですよ。それで今乗り換えて、レブル(ホンダ)のE-Clutch(イークラッチ)に乗っていて……。どう思います?」

「アハハハ。でも、バンバン200はちょっともったいないかもって思いますね。一時期、コロナ禍はバイクの中古市場がすごいことになっていて、車種によっては新車で買った値段よりも高く売られていたりしましたね。特に旧車の場合は、すごい値段がついていました」

今野「はあ~~~すごい」

「芸人さんに多いですよね、オートバイに乗られている方」

今野「そうですね。でも、だいたいハーレーとかですかね」

「はいはい」

今野「ちなみに、“排気量マウント”という言葉をよく聞くんですけど、そういう目にあったことありますか?逆に、したことがあったりとか」

「したことがあるかはアレですけど…(笑)。もともと中型に乗っていたんですけど、少し前に大型バイクのブームが来たとき、ちょっと乗りたいなと思って免許を取りました。取ったら取ったで、ほかの人に『え、まだ取ってないの?』って言っていたかもしれません(笑)」

今野「アハハハ。それは何年くらい前ですか?」

「15~20年くらい前ですかね」

今野「免許は簡単に取れましたか?」

「そんなに難しくもなかったですかね」

今野「普通の中型バイクに乗るのと同じ要領で乗れるんですか?」

「はい。乗れます、乗れます」

今野「ノーミスで取れたんですか?」

「ノーミスでしたね」

今野「……俺は3回ミスりました」

「アハハハハハ」

今野「こんなにハンコ押してもらえないのかって……」

「難しかったんですね」

今野「車の免許は簡単に取れた記憶があるんですけどね。オートマで取ったのもありますが」

「はいはい」

今野「あ、でも今言いながら思い出したんですけど、車の免許の筆記試験は2回ミスりました。1回は普通に落ちて、もう1回は電車を間違えて会場までたどり着かなかった」

「そうだったんですね(笑)」

今野「それにしても、バイクの免許は難しかった。車をオートマで取ったので、なにしろ『クラッチ』というものが分からない。なんのためにやっているのかもよく分からない(笑)」

「うんうん。でもやっぱり、オートバイはあのガチャガチャと自分でいろいろ動かしている感じが楽しいのはあるのかなと思っています」

今野「でも、なんでノーミスで取れたんですか?」

「昔からずっと原付に乗っていたのが大きいんじゃないですかね」

今野「車の免許の前に原付の免許を取ったパターンですか?」

「そうですね」

今野「それはズルだ(笑)」

「アハハハハハ」

最後に、今野さんから上さんへのお願い?

今野「上さんは、いつもどのヘルメットを被ってるんですか?」

「職業柄、お客さまに良さを伝えなければいけないので、いろいろと被っていますよ。今のお気に入りは『ストラーダ』というものです」

今野「カッコいいな、これ」

「口先が長く、夏場の息苦しさが少し軽減されるので最近はこれをよく使っています」

今野「RAPIDE-NEO(ラパイドネオ)というものもカッコいいなと思ってたんですよ」

「シンプルなヘルメットが欲しいという方には、好評なモデルですね」

今野「会社のみなさんは、社割で購入できるんですか?」

「社割で購入できますし、私の場合は、定期的にいろいろなヘルメットを借りて被っていますね」

今野「俺やっぱり、さっきの『マーベリック・オークリー』があきらめ切れないので、上さん、社割で買ってもらっていいですか?」

「いえいえいえ(笑)」

今野「その金額をあとでお支払いするので(笑)」

「いつか、買っていただければと思います!」

構成:田中 直希

協力:株式会社アライヘルメット
本社:〒330-0841 さいたま市大宮区東町2-12

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