【オールスターレポート】17年ぶりの開催。“特別な1日”に大宮の選手たちが得た無二の経験

今回は、6月13日に行われた「JリーグオールスターDAZNカップ」のレポートをお届け。RB大宮アルディージャから参加した選手・監督は、17年ぶりに開催されたこの特別な祭典でどんな姿を見せ、何を得たのか。クラブオフィシャルライターの粕川哲男さんが現地で取材しました。

憧れの存在から託されたキャプテンマーク

6月13日、MUFGスタジアム(国立競技場)において「JリーグオールスターDAZNカップ」が開催され、大宮からはファン・サポーターの投票によって泉柊椰、関口凱心、宮沢悠生監督、そしてJリーグ推薦により西尾隆矢の計4人が参加した。

Jリーグの全60チームから集結した選手たちは、オープニングセレモニーからスタジアムを盛り上げた。大宮の4人もブルルと一緒に腕組みポーズを決めて入場。声援に応えながら花道を歩き、整列後は西尾が年代別日本代表で指導を受けた森山佳郎監督(ベガルタ仙台)の百年構想リーグ優勝を祝福し、「来シーズン戦うのを楽しみにしています」と伝えるなど、和やかな雰囲気で17年ぶりとなるビッグイベントに臨んだ。

大宮のユニフォームを着たファン・サポーターも、数多くスタジアムに足を運んでいる。

槙野智章監督(藤枝MYFC)、宮沢コーチが指揮したJ2・J3 EAST-Bは、初戦でJ2・J3 EAST-Aと30分1本勝負を戦った。勝てばJ1 EASTとの準決勝に進み、負ければ5位・6位決定戦にまわる。

EAST-Bはキャプテンマークを巻いた三浦知良(福島ユナイテッドFC)を先頭に、2番手に泉という並びで入場。西尾、関口もおり、3人そろっての先発出場となった。選手の並びは[4-4-2]。西尾が右CBを務め、関口が2列目の右サイドに、泉はその逆サイドに入った。

開始早々、泉が見せ場を作る。タッチライン際で三浦からパスを受けてカットイン。この日も、切れ味鋭いドリブルが冴える。DFとうまく入れ替わった山田寛人(湘南ベルマーレ)に先制点を奪われたものの、サイドチェンジのパスをピタリと止めてスルーパスを送るなど、左サイドで違いを生んでいた。

14分に三浦が退く際、泉はキャプテンマークを託されて抱擁。その瞬間を「キャプテンマークはあまり巻いてこなかった人生なので、俺でいいんかなって思いましたけどうれしかったです。『頼んだ』って言葉以上のものを感じました。お母さんが大ファンなので、感慨深かったです」と振り返っている。

西尾は最終ラインで正確なパス回しを見せつつ、CKの場面ではゴール前にポジションを上げて得点を狙いにいく。右サイドの関口も縦への仕掛けでCKを獲得し、西尾からパスを受けてシュートを放つなど、積極的な姿勢でチームに勢いをもたらした。

ただ、西尾、関口ともに15分で交代。その3分後、鎌田大夢(仙台)の絶妙なスルーパスに反応して最終ラインの裏を突いたディサロ燦シルヴァーノ(モンテディオ山形)に追加点を許してしまう。

泉も21分に退いて以降、会場を沸かせたのはアルトゥール・シルバ(湘南)だ。ピッチの中央で相手に囲まれながらも体の強さを生かしてボールをキープした直後、ゴール前まで攻め上がって鋭いクロスを入れるなど、攻守両面で見せる存在感は変わらなかった。結局、試合は0-2で終了した。

それぞれが抱いた“次”への抱負

WEST-Aとの5位・6位決定戦は3人ともベンチスタートとなった。宮沢監督はコーチとして槙野監督の隣に座り、戦況を見つめている。

7分、高い位置で相手ボールを奪った上原力也(ジュビロ磐田)のクロスを渡邉りょう(磐田)が頭で落とし、飛び込んだ三平和司(ヴァンフォーレ甲府)がダイビングヘッドで決めてEAST-Bが先制。さらに3分後、山中惇希(いわきFC)のCKを渡邉が頭で合わせて、それに対するクリアが小さくなったのを見逃さず、藤川虎太朗(AC長野パルセイロ)が迷いのない左足のハーフボレーで点差を広げた。

11分に山中に代わり泉が登場。その3分後に三浦と槙野監督が同時に交代出場してスタジアムが沸く。試合時間20分の5位・6位決定戦はアッという間だったが、それでも泉は2トップを組んだ三浦、槙野と絡み、少ない時間の中でうまさを印象づけた。結局そのまま試合終了。西尾と関口は出場がなかったが、EAST-Bは5位で大会を終えた。

試合後、見慣れない緑色のユニフォームを着た西尾と関口は、そろって笑顔を見せた。

「初戦も勝てればよかったですけど、最後に勝ってみんなと喜び合えたので、楽しかったです。サッカー人生の中でこういう試合ができるのは当たり前ではないので、非常に貴重な経験でしたし、すごく良い財産になりました。次回はベストイレブンで参加できるよう、新シーズンは頑張りたいです」(西尾)

「CKを取ったドリブルとミドルシュート1本くらいだったので、もう少しチャンスを作れたら良かったと思います。選んでくれたファン・サポーターの皆さんに感謝します。憧れの存在のカズさんのオーラを感じて、いろいろなことを吸収できたので、次のリーグ戦に生かしたいです」(関口)

また、宮沢監督は「選んでくれたファン・サポーターのために」参加した気持ちを口にし、監督として大宮で過ごした8カ月に関しては「今日の試合前や試合後に、監督業というのはワクワクするサッカーを見せるだけじゃダメなんだ、結果でファン・サポーターの方々を満足させられる監督、一つ上のレベルにつれていける監督にならないとなって、思っていました」と、総括した。

なお、J2・J3百年構想リーグEAST-Bで18試合出場10得点、山本と並んで得点王に輝き、地域リーグラウンドベストプレーヤー賞を受賞した泉は「1試合1試合やっていたら、こういう結果(賞)になった感じなので実感が湧いていません。ただ先を見据えるよりも、1試合ずつ成長と結果のためにやることがチームのためにも自分のためにもなると気づきました。ただドリブルではがすだけじゃなく、数字を残すことがこういった評価につながると実感しました。新シーズンがどういう形になるか分からないですが、また満員のNACKでプレーできるように頑張りたいと思います」と、次なる戦いに目を向けていた。


粕川哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。

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