明治安田J2リーグ 第33節
2025.10.18 [SAT] 14:00 NACK

大宮

  • 36' 豊川 雄太
1 - 0
1 前半 0
0 後半 0

藤枝

試合経過
さあ、運命の“ラスト6”の幕開け。 注目は前線と最終ラインの人選
J2リーグは残り6試合となった。首位の水戸と勝点8、2位の長崎とは勝点6の開きがあるが、どちらも上位陣との直接対決を残している。3位の千葉を除く上位チームも、6ポイントマッチを複数試合残している。J1自動昇格とプレーオフ出場をめぐる争いは、最後の最後までもつれそうだ。

チームは一戦必勝のメンタリティで残り試合に臨む。藤枝は攻撃的なスタイルを志向し、J2リーグでも上位の平均ボール支配率、1試合平均シュート数を記録している。シマブクカズヨシのチャンスクリエイト、9得点の浅倉廉、8月に加入して3得点の矢村健の決定力には、あらためて警戒が必要だろう。ゴール前のエアバトルでは、空中戦に強いCB中川創をフリーにしてはいけない。

この試合は3試合連続得点中のカプリーニが、累積警告で出場停止となる。とはいえ、前監督指揮下からチームの総合力を高めており、人材の不足はない。杉本健勇、藤井一志、津久井匠海、さらには富山貴光らが選択肢となるだろうか。直近の仙台戦でメンバー外だったファビアン・ゴンザレスも、メンバーに絡んでくる可能性はある。誰がスタメンに選ばれても、勝利への飢えた思いを表現するに違いない。

また、U-20W杯出場でチームを離れていた市原吏音が、今節から復帰できるのは好材料だ。村上陽介と福井啓太のコンビで連勝を飾ってきたが、市原が戻ってきたことで戦術の幅が広がる。試合終盤のシステム変更なども含めて、宮沢監督はさまざまなゲームプランを構築できるはずだ。

ホームでは3戦ぶりの勝利を目指す戦いである。再開初戦で勝点3をつかみ、ラストスパートの第一歩としたい。

(文:戸塚 啓)

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監督コメント
就任からの2試合で出た課題が明確だったので、そこはしっかりとトレーニングを積み重ねてきました。守備ではこれまでやってきたことに加えて、さらに強度やスライドとかの部分で私が求めたいことがあったので、それをもう少しやることと、攻撃ではのところはみんなで共通理解を持ってやろうということで取り組んできました。

自分が落とし込みたい部分として、強度とか、勇気を持ってプレーするという部分は絶対に曲げたくないですし、ブレたくないです。ただ、日本にも大事な文化があるのでそこは大事にしながら、でもサッカーのプロの世界において必要だと思うことは変えていきたいので、そこはリスペクトとオープンマインドで、選手たちと共有したビジョンでチャレンジしていきたいです。

藤枝は、特徴的なチームだなというのが第一印象です。ただ、選手たちにも「どこのチームと対戦しても、自分たちはポイントを失う可能性もあるし、どこのチームが相手でもポイントは取れるレベルに自分たちはあるよ」というのは日頃から言っていて、それは自分が見て感じたことなので、最低限の相手の情報は入れますが、あとは自分たちが何ができるかというところにチャレンジしていきたいと思っています。

自分にとっては初めてのホームゲームなので、ワクワクしています。すごくいい雰囲気を作ってくださるということをみんなから聞いていますし、僕はホームでもアウェイでも、来てくださるサポーターの方のためにサッカーはあると思っているので、来てくださった方々にいい試合だったと思ってもらえるようなサッカーで、みんなで立ち向かっていければと思っています。
選手コメント
監督が代わって3週間ですが、僕たちはプレーすることに必死で、監督の求めることを体現することだけに力を使ってきましたし、いい3週間だったと思います。もちろん新しいやり方を取り入れる中では、難しさや不安などいろいろな気持ちが各選手にあったとは思いますが、そういったときに真面目に「まずやってみる」ということができるのがこのチームの良さだと思いますし、監督の要求に対してしっかりとそれを体現できるのすごくいいところだと思いますし、いい準備ができていると思います。連勝とか試合の間隔が空いたとかはあまり関係なくて、みんな勝ちたいだけですし、一つひとつ勝っていくことで景色が変わってくると思うので、本当に目の前の試合だけに注力できればと思います。

藤枝戦は、今までやってきたように刈り取るところ、しっかりスライドさせるところ、後ろの準備しておくところとか、そういった部分が大事になると思います。この期間でその精度を高めることができたと思いますし、チーム全員で何をしなければいけないかという共通認識もみんなの中で出てきたと思うので、まずは自分の役割をしっかり全うして、プラスアルファでチームに何かをもたらせる力があればとは思います。

チームは、ポジティブに強度高く練習ができているので、非常にいい状態になりつつあると思います。誰もサボる選手はいないですし、自然とトレーニングの中で激しく競争できるような雰囲気作りとか、そういったことをチーム全員で、スタッフの方々も含めてできていると思います。ただ、若い選手が多い中で、自分も含めてですが、ここからの大一番で重圧にどう打ち勝っていくか、どう楽しむかというところは、全員に必要な部分だと思います。

残り6試合、まずは目の前の試合に勝ちにいく、狩りに行くだけです。
2連勝して中断期間を迎えられたことはすごくポジティブでしたし、よりいい雰囲気で自分たちが新しいことにチャレンジしたりとか、新しい取り組みに対してやってこれたと思います。

特にシーズンの終盤だからといって、取り組みや姿勢を変えるということはないですが、1年間、今シーズンずっと前向きにチームにエネルギーを与えられるようにということをつねに意識して取り組んできましたし、そういったところは今も継続しています。DF陣は若い選手もたくさんピッチに立っていますし、自分がディフェンスラインを引っ張れるようにというのは意識して練習から取り組んでいるつもりです。

藤枝には前期の対戦でかなり苦しみましたし、もうここからはどこと対戦しても本当に僅差の戦いになると思います。雰囲気もそうですし、置かれている立場だったりとか、お互いにしびれる状況があると思うので、藤枝のいいところをしっかり消して、自分たちの強みが今は明らかになっているので、そこを思う存分に出してプレーできたらと思います。

この期間で守備のところは時間をかけて取り組んできて、ディフェンスラインで共有もできていますが、でも結局は最後のところであったり、前節の失点も一瞬のところなので、そこをもう一回みんなで意識を合わせて守れるかどうかだと思います。
宮さん(宮沢監督)がポジティブな要求をしてくれているので、しっかりそれに応えてやれば絶対にゼロに抑えられるという自信もありますし、勝ってはいますがもう一回ディフェンスラインにしっかり目を向けて、ゼロにこだわってやりたいと思います。

やはりNACKは僕たちの要塞、城ですし、負けは許されないです。アウェイで本当に苦しみながら2つ勝点3を取ったので、ホームのアドバンテージをしっかり生かして、サポーターとまた一緒になって勝点3を取りたいですし、中断明けはすごく大事だと思うので、ここで3連勝できれば勢いに乗れると思いますし、たくさんのサポーターが入ったスタジアムでやれるということすごく楽しみにしています。
メンバー

スターティングメンバー

90+3'
87'
67'
73'
67'

控えメンバー

90+3'
87'
67'
73'
67'
73'

監督

宮沢 悠生

スターティングメンバー

GK 41 北村 海 チディ
DF 22 久富 良輔
90+3'
DF 5 楠本 卓海
DF 16 森 侑里
69'
MF 6 世瀬 啓人
76'
MF 18 松下 佳貴
MF 71 榊原 杏太
20'
MF 8 浅倉 廉
76'
MF 50 金子 翔太
46*'
MF 19 シマブク カズヨシ
FW 9 矢村 健

控えメンバー

GK 21 ジョーンズ レイ
DF 4 中川 創
69'
DF 44 ホッキ ジュニオール
MF 15 杉田 真彦
46*'
MF 17 岡澤 昂星
76'
MF 33 川上 エドオジョン 智慧
20'
FW 7 松木 駿之介
FW 14 中川 風希
76'
FW 20 閑田 隼人
90+3'

監督

須藤 大輔
試合詳細
11 シュート 5
8 GK 7
4 CK 8
15 直接FK 14
3 間接FK 0
0 PK 0
試合データ

主審

俵 元希

副審

川崎 秋仁

副審

荒上 修人

第4の審判員

田邉 裕樹

入場者数

11,793人

天候

晴のち曇、中風

ピッチ状態

全面良芝

気温/湿度

25.5℃/63%
豊川決勝点で3連勝、宮沢監督就任後初のホーム戦で勝利
明治安田J2第33節は、藤枝を迎え撃つホームゲーム。残り6試合で、7位と勝点で並ぶ6位に位置する。J1昇格プレーオフ圏内をキープしながら、2位以上への上昇を目指すリーグ終盤の大事な戦いだ。

攻撃の主力であるカプリーニは累積警告で出場停止だが、最終ラインには、FIFA U-20ワールドカップチリ2025から帰ってきた市原が先発出場。気温25度の、10月半ばとは思えない暖かさでキックオフを迎えた。

立ち上がりは、攻めあぐねた。相手の攻撃に対する守備がやや後手に回った。茂木が「監督が代わって、3バックの相手は初めて。(互いの)立ち位置が違うので、ズレながら追わなければいけない難しさはあった」と話したように、プレスバックで相手の攻撃を食い止めるのが自陣になり、得意のショートカウンターが発揮できなかった。

攻撃のスタート位置が低く、ショートパスの連係では思うようにスピードアップができず、シュート回数を少なく抑えられて攻撃が停滞。25分には、左サイドからカウンターを受け、クロスボールをゴール前で合わせられるピンチもあった。

しかし、速攻頼みにならず、好機を見定めた。36分、小島を中心としたパス交換で中央、左で敵陣に押し込み、下口が左からクロスを送ると、アルトゥール・シルバが胸で止めようとして前に流れたボールを豊川が右足でゴールへ流し込んで先制。小島は「(泉)柊椰のところで時間を少し作れたのが良かった。ショートカウンターばかりで息が上がって苦しかったけど、そこが落ち着いて、点が取れて良かった」と手ごたえを語った。

得点によって攻撃は活性化。43分、左CKでゴール前の混戦から市原がヘディングシュートを放ったが、ゴールラインを割る寸前で相手がクリア。45+1分にも下口のクロスに谷内田が抜け出してゴールへ流す決定機があったが、相手GKがわずかに触ったボールは、ゴールポストに当たって跳ね返ってしまった。

後半は、空が曇り、涼しい気候で迎えた。攻撃は前半より加速した。57分、小島が中盤でボールを奪取。泉、豊川、谷内田、再び泉とつなぎながら前進するショートカウンターを仕掛けると、泉からパスを受けた豊川のクロスに逆サイドから谷内田が飛び込んだが、シュートをコントロールできなかった。59分には、サンデーの右からのクロスに豊川が飛び込んだが、これも合わなかった。

好機が続くが追加点が入らない、もどかしい展開だ。66分には、ピッチ中央から谷内田がスルーパスを通し、サンデーがGKとの1対1を迎えたが、シュートを止められた。直後に杉本と津久井、73分には藤井、和田を投入。宮沢監督は、運動量の改善に加え、試合終盤の難しい場面に備えて、チームを束ねられる選手をピッチに送り出した。

終了間際には、セットプレーで相手選手と交錯した笠原が負傷し、脳震盪の疑いによる追加交代で加藤が緊急出場を果たすアクシデントが発生。目安6分のアディショナルタイムでピンチを招く場面もあったが、最後は、相手FKを加藤がキャッチして試合終了。1-0で勝利した。

就任後初のホームゲームで3連勝を飾った宮沢監督は「ホームの印象は、本当に最高です。本当にすばらしいサポーターと、
なんなら(自分も)応援歌も歌えるぐらいになっている。こんなすばらしい雰囲気を作ってもらえるのは、選手、スタッフにとって最高」と喜んだ。

残りは、5試合。次節は、山形とのアウェイゲームとなる。昇格争いは、激しさを増す。J1昇格を狙うには、すべての試合が決勝戦のような緊迫感を持つ中、上位が崩れるまで勝ち続けるのみだ。

(総評:平野 貴也)

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監督コメント
苦しい試合になるということはわかっていたのですが、12,000人ほどのサポーターに集まっていただいて、本当にすばらしいサポーターの声援の中で選手たちが相手に向かっていく姿勢を見せて、勝点3を取ることができました。すごくうれしく思っています。

スカウティングで、藤枝がすごく面白いサッカーをするということも、つながれることもわかっていました。自分たちには新しいメンバーが数人いた中で、うまくいかない可能性もあるなとは思っていたので、我慢強くやろうと自分の中では考えていました。相手の枠内シュートはおそらく0本だと思いますが、相手に握られていても最後のところで体を張れていましたし、その部分は合格点が与えられるのではないかと思います。ただ、課題は見えています。

ホームの印象は、本当に最高です。本当にすばらしいサポーターと、なんなら応援歌も歌えるぐらいになっていますので、本当にすばらしい雰囲気だと思います。この雰囲気をいつもホームゲームで作っていただけるというのは、選手やスタッフにとっては最高だと思います。

残り5試合プラス2試合と選手たちには伝えているのですが、一戦一戦やるだけですし、これは勝っても負けても変わらないです。勝っても負けても絶対に一戦一戦、次の一戦、つねにファイナルの気持ちでやっていこうと思っています。
選手コメント
体制が変わってから3バックのチームとは初めての対戦で、4バックのチームとは相手の立ち位置が違うので、自分たちがあれだけ前から行く形だとズレながら前に行かないといけないという難しさはありましたが、「それでも信じてやってくれ」と言われていました。やり続けて我慢しながら一本刺せたことが今勝ち続けられている理由だと思いますし、良かったと思います。

前半は、少し落ちついてボールを持つシーンとか、相手がけっこう来ているぶん裏に返そうと蹴っているシーンが多かったと思うので、もう少し後ろ3枚で安定させてからボールを動かすとか、今までのような形をもう少し早く作りたかったです。相手も3枚でそのまま当ててきていましたが、近づき過ぎずにもう少し開いて越えられるシーンもあったので、その辺をもっとやっていくしかないと思います。相手が3バックで来たのはいい経験だったと思いますし、勝ち切れて良かったです。

自分もヘディングのタイミングが合わなかったシーンもありましたし、決め切るところをしっかり決めていればもっとラクな試合になっていたと思います。そこはチームみんなの課題ですし、決め切って自分で自分をラクにできたらよかったと思いますが、次は決められるように頑張ります。

しっかり連勝もできていますし、ホームでいい雰囲気を作ってもらえて勝てたので、チームがもっと一つになっていけると思います。このあとも1試合1試合大事な試合で、全部がファイナルのような感じなので、一つも落とさないように日々やっていきます。
みんなが本当に体を張って守ってくれていたので、ゴールできたこともうれしいですが、ああいうスキを見せないところをチーム全体として見せられたのは良かったかなと思っていますし、続けていきたいと思います。ただもう2、3点取れたシーンはあったと思いますし、複数取りたかったなと思いました。

相手がけっこうロングボールを多く蹴ってきていて、そこは(茂木)力也とか(下口)稚葉とか後ろの人がうまく対応してくれたので、前の選手はできるだけ前に行って、引っかければチャンスだったシーンがけっこうあったので、それをベースにしながらスタイルを貫いていければなと思っています。

個人的には今日は久しぶりのFWでしたけど、今年はトップ下や2列目にもチャレンジしていて、そこでもいい手ごたえでここまできていましたけど、FWはもともとやってたところなので、体に任せてうまくチャンスを作れたのかなと思っています。

相手のスキを突くというところでは、横からのボールでマークが外れやすいと思っていたので、自分の頭を越えたときにどううまく反応するかを考えていて、そういったところはもともと自分自身が持っているものがあるので、そこはうまく反応できたかなと思います。

まだ最後ではないですし、ここからですし、結局は最後どう持っていくかが大事なので、監督も言ってますけど、まずは1試合1試合を決勝戦のつもりで戦い抜いていくことが大事かなと思います。
決めるところを決め切らないとこういう苦しい試合になってしまうというのは試合前から思っていましたし、僕自身もそうですけど、早いうちに2点目、3点目を取れていたらもっとラクなゲーム運びができたんだろうなと思います。

宮さんのサッカーは守備の奪うところが分かりやすいですし、多少後ろはリスクを負っていますけど、選手は監督を信じて、監督にも選手を信じてもらって、監督に提示してもらったものを自分たちはやるだけですし、全員が同じ方向に向かっていければ簡単には負けないのかなと思います。

僕たちはJ1にどうしても昇格しなければいけないですし、ここから本当に一つも落とせないですし、ガブ(ガブリエウ)が戻ってくるまで自分がキャプテンとして引っ張らなければいけないと思っています。

今日は攻撃のところは自分たちのアイディアをうまく出せたと思いますけど、守備のところは宮さん(宮沢悠生)になって新たなことにチャレンジしている段階なので、今日出た良いところ良くないところを振り返って修正して、絶対にやらせない強固な堅い守備が形成できるように、もう一回やっていきたいなと思います。
フォトギャラリー

(写真:早草 紀子)

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