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目の前の景色を変えるために、選手たちは懸命に汗を流す。
週末の磐田戦へ向けたトレーニングが、9月23日からスタートした。選手たちがクラブハウスから出てきたのは、9時15分頃だった。
祝日ということで多くのファン・サポーターが詰めかけるなかで、ウォーミングアップを経てボールを使ったトレーニングへ。人数、スペース、時間などの設定を変えながら、テンポよくメニューが消化されていく。実戦形式では、オリオラ・サンデーらが豪快なシュートを突き刺して観衆を沸かせた。
全体練習の終盤には、前日に就任が発表されたスチュアート・ウェバー ヘッドオブスポーツがグラウンドに姿を見せた。川田尚弘 テクニカルダイレクターらとともに、個人練習に励む選手たちに鋭い視線を送っていた。
クラブ在籍10年目の富山貴光は、ウェバー氏の就任について、「新しい風を吹かせるのは大事でしょうし、それによってまた、クラブがいい方向へ進んでいくのでは」と話す。「そのなかで、もっともっと大きなクラブ、強いクラブになっていけるように、自分たちは結果を残せるようにやっていきます」と続けた。
チーム最年長の笠原昂史も、「自分たち選手がやるべきことは、変わらないですね」と、クラブの変化を冷静に理解している。「わかっていたことですが」と前置きをして、小さく笑みをこぼした。「外国人の方がどんどん増えています(笑)。日本の文化や日本サッカーを理解しながらいろいろなことを進めていってくれると思うので、僕らは一日一日、しっかりやることだけを考えていけばいいかな、と」
選手たちとウェバー氏とのかかわりは、まさに始まったばかりだ。カプリーニは「間違いなく私たちを助けるために来ているので、自分たちが掲げている目標に対して同じ意思でこのクラブに来てくれていると思う」と、ポジティブに受け止めている。
原博実 代表取締役社長は、「日本人のスポーツダイレクターやヘッドオブスポーツとは違った視点で、いろいろなものを見てくれたらなと思います」と話し、ウェバー氏を適宜サポートしていくという。「彼が仕事を進めていくにあたって、日本のサッカーのことやこのクラブのことを、もっと知っていく必要はあるでしょう。それを伝えるのは、僕の仕事だと思っています。僕自身、色々な外国人と仕事をしてきて、いろいろなケースも見てきました。そういう意味でも、彼がこのチームでうまく仕事を進めていけるように、サポートをしていきます」
ウェールズ出身のウェバー氏は、イングランドのノリッジ・シティFCのスポーティングダイレクターとして、同クラブをプレミアリーグに2度昇格させている。また、リバプールのシニアナショナルスカウトとディレクターオブリクルートメントの職にあった当時は、ジョーダン・ヘンダーソンらのちの主力選手の獲得に尽力した。その経歴は大いなる期待を抱かせるものだ。
原社長は言う。「レッドブルの考えとして、トップディビジョンへ昇格してアジアへ、というのは当然あります。それ以上にアカデミーをしっかり充実させて、若い選手を早い段階でトップチームで使って育てていく。育てながら勝つという好循環を、どうやって作るかでしょう」
今回の就任に際しては、レッドブルサッカーのテクニカルダイレクターのマリオ・ゴメス氏、グローバルサッカー部門責任者のユルゲン・クロップ氏とも面談を重ねたと言われている。ウェバー氏が加わったことで、レッドブルサッカーとのつながりはさらに深くなっていくだろう。
週末の磐田戦は、結果次第で順位が入れ替わる6ポイントマッチだ。
津久井匠海は「まだ何かが決まったわけじゃない。残り8試合、僕たち次第でどうにでもいい方向へ持っていける」と話す。鋭い眼差しに、闘志が宿る。「どの試合も大事ですけど、上位とか順位が近い相手を倒すことで、見える景色は変わってくる。自分がどういう場面で出るのとしても、試合を決定づけるようなプレーができるように、準備していきます」
笠原は長崎、今治との2戦を振り返り、「僅差で敗れるゲームが続いているけれど、互角以上には渡り合えていると思うし、あと少しのところです」と分析する。そのうえで、磐田戦へのイメージを固めている。「相手も僕たちと同じく前節を落として、これ以上勝点を落とせない状況だと思います。ホームでパワーをかけてくるので、それに負けずに自分たちで主導権をもって試合を進めていければ。あとは、最後のところですね。いかに防ぎきるか。磐田戦に限ったことではないですが、そこにはこだわっていきたい」
27日19時のキックオフまで、選手たちは最高の準備をしていく。
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